入胎児肝臓,腎臓,大脳における蛋白質量,蛋白質構成アミノ酸量の逐月的変動に関する研究
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概要
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人胎生期臓器の発育を化学的に検討するために,胎生第4月より第9月にいたる入胎児肝臓,腎臓,大脳について,臓器重量,蛋白質量,水分量,および蛋白質構成アミノ酸量の逐月的変動を検討し,下記の結果を得た.1)人胎児臓器重量の逐月的変動は,臓器により異なっていた.各臓器重量増加パターンは,各臓器総蛋白質量増加パターンと類似し,肝臓は,ほぼ直線的に増加し,腎臓は第7月以後,大脳は,第6月以後急激な増加を示した.2)胎生臓器水分量は,各臓器ともに胎生の前半に最も多く含有され,胎齢と共に減少した.肝臓水分量の胎齢に伴う減少は顕著であり,大脳は,3臓器のうち最も多く水分を含有し,胎齢に伴う減少は最も少なかった.3)人胎児臓器蛋白質量を単位重量あたりでみると,肝臓に最も多く含有され,次いで大脳,腎臓の順であった.蛋白質量の胎齢に伴う変動は,肝臓では胎齢と共に減少し,腎臓では第8月以後急増し,大脳では第9月に急増した.4)人胎児臓器蛋白質構成アミノ酸の変化は,臓器により異なっていた.肝臓蛋白質は,胎生期間中その性質に変化を示さず,腎臓は,第4月より第5月にかけて,大脳は,胎齢毎にその性質が変化した.上記の結果より,胎生3臓器は,胎生期間中,それぞれ固有の発育を示し,3臓器のうち,肝臓が最も早く発育し,胎生後期になって,腎臓,大脳の発育が顕著になると考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-05-01
著者
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