体外受精・顕微授精における男性因子指数の考案とその有用性の検討

概要

論文の詳細を見る
精子濃度, 精子運動率, 精子形態分析, ハムスターテストおよび血清follicle-stimulating hormone(FSH)値と体外受精成績との関連を分析し, これらに基づく男性因子指数(Male Factor Index:MFI)を考案した.5種のparameterはどれも受精率と有意な相関を示したが(R^2=0.627), 受精に関する正診率は5種のparameterに比しMFIが有意に高かった.MFIが0(20周期), 1〜2(95周期), 3〜5(431周期)のとき, それぞれ, 受精率26.5%, 51.3%, 65.2%, 胚移植率30%, 78%, 92.6%, 継続妊娠率0%, 18%, 28.3%と, すべての成績が3群間で有意な差を示した.流産率は, MFIが0のとき100%で, MFIが1〜5のときの19%に比し有意に高かった.そこで、MFIが0の症例にintracytoplasmic sperm injection(ICSI)(24周期)を施行すると, 受精率63.0%, 胚分割率58.7%, 胚移植率98%, 継続妊娠率26%が得られ, いずれも体外受精を施行した成績に比し著しく向上した.さらに流産率も6.7%と, 体外受精での100%に比し有意に低下した.MFIは体外受精成績をよく反映し, MFIが0のときICSIの適応と考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
2001-11-01