子宮頚癌の傍結合組織への進展についての再検討
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概要
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文献的にみて頻度の差の著しい子宮頚癌の傍結合組織への進展は,放射線療法が発達して手術適応が変り,術式もかなり変遷し,微小浸潤癌の予後が明らかになつた現在,再検討が必要であると思われる.岡林式広汎子宮摘出術を受けた深部浸潤癌(浸潤の深さ5mm以上の癌)153例中20例13.1%,306側中24側7.9%に組織学的に癌が認められた.この数値は階段切片によつて微小浸潤癌例(浸潤が5mmを起えない)を確実に除外し,切除された傍結合組織を残らずブロックとして得られた数値であるにもかかわらず,従来の報告のような極めて高い数値は得られず,文献上最も低いものである.腺癌例あるいは腺棘癌例では扁平上皮癌例より高頻度に傍結合組織への進展が見られた.臨床期のIbあるいはIIa例では4.4%,IIbでは25.4%に組織学的に傍結合組織に癌が認められた.また逆から見ると組織学的に傍結合組織に癌が認められなかつた例の35.3%,癌が認められた例の80.0%が臨床的にはIIbと判定されていた.傍結合組織へ,あるいはその中のリンパ小節へ進展した頚癌病巣が,骨盤リンパ節転移への前提であろうという結論は得られなかつた.傍結合組織に組織学的に癌が認められた例の5年生存率は有意に低かつた.準広汎子宮摘出術を受けた上皮内癌28例,準広汎あるいは広汎子宮摘出術を受けた微小浸潤癌40例の傍結合組織には組織学的に癌は認められなかつた.このことはいわゆる準広汎子宮摘出術の意義について再検討が必要であることを示唆していると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-10-01
著者
-
足立 春雄
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
岸 恭也
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
乾 貞治
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
土井 忠彦
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
保田 正憲
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤田 秀樹
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
古田 則明
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤田 秀樹
徳島大
-
古田 則明
徳島大
-
保田 正憲
徳島大学産科婦人科教室
-
岸 恭也
徳島大学医学部産婦人科学教室
-
岸 恭也
徳島大学医学部産婦人科
-
乾 貞治
徳島大学医学部産婦人科
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