子宮体癌進行度推定における超音波断層検査の有用性についての検討 : 術後組織診との比較
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概要
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超音波検査法の子宮体癌診断における有用性を検討するために, 1976年以降に徳島大学医学部付属病院産婦人科で手術療法を受けた子宮体癌47症例に対し, 術前に超音波断層検査を施行した. 子宮内 echo の大きさは縦断面と横断面で計測し, さらに頚管侵襲の有無と健常筋層の厚さを推定し, 術後の組織学的所見と比較検討した. 1) 子宮体癌症例の超音波断層像では, 全体の94% (44/47) が子宮内に何らかの echo を認めた. また79% (37/47) は echogenic な mass 像をとり, 体癌に特徴的であった. 2) pTNM 分類で分類すると, pT1 の echogenic な mass の大きさは pT2, pT3, pT4 に比べて有意に小さく, とくに縦断面での二方向の最大径の積 A が500mm^2以下, 縦断面と横断面の三方向の最大径の積V が10,000mm^3以下の時に, pT1 の確率は有意に高かった. 3) 超音波断層法により頚管侵襲を推定した場合, その正診率は, 陽性像で87% (13/15), 陰性像で81% (22/27) であった. とくにI期癌において術後組織診で頚管侵襲があった例の正診率は, 75% (3/4), II期癌において術後組織診で頚管侵襲がなかった例の正診率は, 100% (7/7) であり, 補助診断としての有用性が高いことが判明した. 4) 超音波断層法により推定した健常筋層の厚さは, 術後組織学的に計測された健常筋層の厚さと高い相関 (r=0.60) がみられたことから, 筋層浸潤の推定に超音波断層法が有用と考えられた. 超音波断層法により推定された健常筋層の厚さが3mm以下の時, 63% (5/8) に子宮外進展 (傍組織浸潤, リンパ節転移) がみられ, 3mmを超える時の19% (5/27) に比べて有意に高かった. 以上の結果より, 子宮体癌の進行度推定において, とくに頚管侵襲の有無, 筋層浸潤の程度, 子宮外進展の有無の推定に超音波断層法が有用であることを明らかにし得た.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-10-01
著者
-
青野 敏博
徳島大学医学部産科婦人科
-
岸 恭也
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
乾 貞治
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
中山 孝善
中山産婦人科
-
和泉 佳彦
徳島県立三好病院産婦人科
-
岸 恭也
徳島逓信病院産婦人科
-
中山 孝善
徳島大学医学部産科婦人科学教室
-
和泉 佳彦
徳島大学医学部産科婦人科学教室
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岸 恭也
徳島大学医学部産婦人科
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乾 貞治
徳島大学医学部産婦人科
-
青野 敏博
徳島大学医学部
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