妊娠初期着床部における絨毛細胞侵入と母体免疫系細胞浸潤との相関に関する研究 : 単クローン抗体を用いた免疫酵素抗体二重染色法による

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概要 trophoblastに反応する廸P雇或抗体と、免疫系細胞を識別する漏P雇或抗体とを用いた免疫酵素抗体二重染色法により、妊娠初期着床部におけるtrophoblastの侵入と、それに応じて浸潤している母体免疫系細胞の相関について解析し、以下の知見を得た。 1)着床部において、最も多数認められる免疫系細胞はHLAツR陽性であるmonocyte/macrophage(Leu-M3陽性細胞)であつた。これらは、anchormg vilh 付着部周囲、および、そこから脱落膜、筋層に侵入しているtrophoblastに近接して存在することから、trophoblastの有する抗原を認識し、それを母体T cell系に提示する抗原呈示細胞として機能している可能性が推察された。 2)mature T cell marker であるLeu-1、を有する細胞は脱落膜緻密層に付着するvllh、および、そこから繊密層に侵入しているtrophoblastの周辺にはほとんと観察されなかつた。しかし、妊娠週数の進行とともに多くみられるようになる、海綿層に付着するvllhの付近、および、海綿層、筋層に侵入しているtrophoblastの周囲には比較的多数認められ、これらは、ほぼ同数のLeua陽性細胞(k111er/suppressor T cell)とLeu-3a陽性細胞(helper/mducer T cell)とからなつていた。これらT cell は、着床部の深層において、増殖性と浸潤性の強いtrophoblastの無制限な侵入を免疫的に阻止している可能性が示唆される。 3)着床部脱落膜には、E rosette receptor 陽性でありながら、Leu、-2a、a、-4などのmature T cellmarkerを有しない免疫系細胞が認められた。これらの免疫細胞は、着床部の深層である筋層にはほとんど観察されず、その分布は教室渡辺らの研究によるendometrial granulocyteのそれと類似していることか判明した。これらは、漏E体に願粒を有し、cytotoxic T cell のgenerationを抑制するとされるnon-Tであるsuppressor cell (Clark et aI)に対応するものと考えられる。mature T cellmarkerをもたないE rosette receptor 陽性細胞の中には、膨の着床部においてT cell の浸潤をregu-lateするsuppressor actlvityをもつ免疫系細胞が存在していることが示唆される。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-09-01

妊娠初期着床部における絨毛細胞侵入と母体免疫系細胞浸潤との相関に関する研究 : 単クローン抗体を用いた免疫酵素抗体二重染色法による

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