硬さ触覚センサーによる子宮頚管軟化の客観的評価に関する研究

概要

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Bishop scoreは, 主観的・経験的な評価法であり, 頚管熟化度を客観的に評価しているとはいい難い. そこで, 圧電セラミック振動子を用いた硬さ触覚センサー (以下触覚センサーと略す)が, 妊娠時子宮頚管軟化の客観的評価法となるか否かにつき以下のごとく検討を行った. まず, 妊娠を経験したことのない非妊娠・妊娠各期・分娩中および産後24〜36時間目のSprague-Dawleyラット総計66匹につき, その子宮膣部硬度を触覚センサーで周波数変化量 (以下Δfと略す)として測定した. 次いで, この測定を終えたラットの子宮頚管を摘出し, その乾湿重量比とヒドロキシプロリン含量をそれぞれ測定のうえ, それらと子宮膣部Δfとの相関を検討した. ラットでは, 妊娠日数の進行に伴い, 1) 子宮膣部Δfが次第に増大し, 分娩中に最大となった. 2) 子宮頚管組織の乾湿重量比も, 次第に増加し, これと子宮膣部Δfとの間には, 有意な相関関係 (r=0.812)が認められた. 3) 子宮頚管組織のヒドロキシプロリン含量は次第に減少し, この濃度と子宮膣部Δfとの間には相関関係 (r=0.674)が認められた. 次に非妊娠対照婦人26人と妊娠・分娩各期の婦人総計192人の硬度を同じ触覚センサーで測定し, 妊娠週数による変化並びに Bishop scoreおよび軟化度との関係を検討した. 1) 妊婦子宮膣部のΔfは, 非妊婦でのそれに比べ有意に増大していた. 2) 初妊婦の子宮膣部Δfと妊娠週数との間には, 有意な相関関係 (r=0.408)が認められた. 3) 合併症なく自然分娩に至った112例の妊婦につき, 同一時点での Bishop scoreあるいは軟化度と子宮膣部上との関係を検討したところ, 初妊婦・経産婦ともに Bishop scoreあるいは軟化度の増加に伴い子宮膣部Δfが有意に増大していた. なお, 統計学的検討は, 分散分析法, 多重比較法あるいは Personの積率法により行った. 以上の成績から今回用いた触覚センサーは, 妊娠時子宮頚管軟化の客観的評価法の一つとして臨床応用も可能と考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1995-07-01

硬さ触覚センサーによる子宮頚管軟化の客観的評価に関する研究

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