経腟超音波断層法による卵巣癌集団検診 : 二次検診におけるCAMPASの有用性に関する検討
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概要
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経腟超音波断層法による卵巣癌の集団検診の二次検診において, 検査法の一つとして卵巣癌腫瘍マーカー多変量解析であるCAMPASが有用か否かにつき検討した. 方法: 1989年4月から1992年3月までの本法による一次検診(受診者延べ20,242人)で, 卵巣長径が30mm以上で要二次検診とされた950人を対象とした. このうち二次検診を受診した866人にCAMPASを施行した. また, CAMPASとは別に血中CA125, CEA, CA19-9, AFP, L-LDHを測定した. 二次検診, 精密検診を経て発見された境界悪性および悪性卵巣腫瘍6例については, 摘出された腫瘍組織内のCA125, CEA, CA19-9, AFP, CA602, CA54, CA61の検索を酵素抗体法(ABC法)を用いて行った. 成績: 1) 二次検診受診者866例中CAMPAS陽性者は10例 (1.2%)であった. この陽性者10例中1例は粘液性嚢胞腺癌であったが, 残リ9例は良性の腫瘍や疾患であった. 2) 本検診により発見された境界悪性および悪性卵巣腫瘍6例(全例I期)はすべて二次検診受診者866例の中から発見され, それ以外の19,375人の中からは1例も発見されなかった. 3) CAMPASとは別に測定した5種類の腫瘍マーカー値は, 境界悪性および悪性卵巣腫瘍6例中3例ではいずれもカットオフ値以上であり, 残リ3例ではカットオフ値以下であった. また, 腫瘍組織内の7種類の腫瘍マーカーの検索成績では4例に陽性所見がみられ, 残る2例では陰性であった. ただし, これら陽性4例のうち腫瘍組織内に検出されたマーカーと血中マーカーとが一致していたものは2例のみであり, 1例ではマーカーの種類が組織内と血中で異なり, 1例では血中マーカーが陰性であった. 結論: 以上の成績から本検診での二次検診にCAMPASを用いることは有用とはいえなかった. また, 無症状婦人を対象に早期卵巣癌を発見する方法としては, 一定以上の大きさの付属器腫瘤を画像でスクリーニングする方法が現段階では血清腫瘍マーカーの測定より有用と思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-11-01
著者
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佐藤 重美
弘前大
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佐藤 重美
弘前大学医学部産科婦人科学教室
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蓮尾 豊
三沢市立病院
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丸山 英俊
弘前大学医学部産科婦人科学教室
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斎藤 良治
弘前大学医学部産科婦人科学教室
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佐藤 重美
弘前大学医学部産婦人科
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丸山 英俊
青森・むつ総合病院
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須郷 孝信
弘前大
-
須郷 孝信
弘前大学医学部産科婦人科学教室
-
蓮尾 豊
市立三沢病院産婦人科
-
須郷 隆信
弘前大学医学部産婦人科学教室
-
斎藤 良治
弘前大学医学部産婦人科
-
丸山 英俊
弘前大学医学部産科婦人科
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