子宮頚癌に関する術前検査所見と術後組織所見との比較
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概要
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弘前大学産科婦人科学教室において昭和40年から昭和49年までの10年間に取り扱われた症例の中から,282例の異型上皮,上皮内癌,初期浸潤癌,浸潤癌の手術例について,術前の生検診,細胞診及び腟拡大鏡診の比較検討と,術後の組織診とそれらとの比較検討を行つた. 1. 子宮摘除が行われた282例の内訳は,異型上皮が20例,上皮内癌が85例,初期浸潤癌が116例,浸潤癌が61例であつた. 2. 術前の生検診と細胞診及び腟拡大鏡診を比較すると,細胞診の正診率は異型上皮では80%,上皮内癌では92.7%,初期浸潤癌では89.7%,浸潤癌では98.3%で,全体として91.5%であつた.腟拡大鏡診では95%以上の正診率であつた. 3.術後の組織診と術前の生検診とが一致していたものは,異型上皮が35%,上皮内癌が75.3%,初期浸潤癌が57.8%,浸潤癌が95.4%であつた. 術後の組織診による診断の方がunderであつたものは異型上皮が35%,上皮内癌が12.9%,初期浸潤癌が36.2%,浸潤癌が6.6%で通算22.7%であつた.逆に術後の方がoverであつたものは,異型上皮で30%,上皮内癌で11.8%,初期浸潤癌で6.0%で通算8.2%であつた.また初期浸潤癌又は浸潤癌がみのがされていたものは,合計12例(11.4%)であつた. 4. 術後の組織診と細胞診とを比較すると,正診率は,異型上皮で80%,上皮内癌で89.2%,初期浸潤癌で94.7%,浸潤癌で98.4%となり生検診の場合よりも病変の進行とともに正診率の上昇がみられた. 5. 術後の組織診と腟拡大鏡診とを比較すると正診率は89.5%で,術前の生検診との場合(96.9%)よりも低かつた. 以上の諸成績を,内外の諸家の成績と対比するとともに,診断の不一致が生ずる原因についても,種々論及した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-10-01
著者
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