嚢胞性腺増殖症の内膜癌前癌病変としての性格
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概要
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子宮内膜癌の前癌病変として嚢胞性腺増殖症cystic glandular hyperplasia(以下CGH), 腺腫性増殖症adenomatous hyperplasia (以下ADH), 異型増殖症atypical hyperplasia (以下ATH)が挙げられるが, ATHに比してCGH・ADHの癌化について, その自然史には不明な点が多い. 今回CGH 52例を6ヵ月〜5年follow-upして, その自然史と前癌病変としての性格を検討し, 以下の結果を得た. 1. CGH52例中, 高位病変をみた症例は, 5例(9.6%), CGHを持続した症例は12例(23.1%), 病変の消失をみた症例は35例(67.3%)であった. また, follow-up中に内膜癌が認められた症例は1例(1.9%)で, 高分化型腺癌(G1)であった. 2. 随時内膜掻爬及び外科的療法が施行された25例の結果は, 病変消失17例(68.0%), CGH持続5例(20.0%), 高位病変出現3例(12.0%)であった. これに対し, ホルモン療法(estrogen製剤, progesterone 製剤, Danazol, Buserelin等)併用施行の27例の最終内膜組織診の結果は, 各々18例(66.7%), 7例(25.9%), 2例(7.4%)であり, ホルモン療法の併用は, CGHに対し有効でなかった. 3. Flow Cytometryを用いてCGH 8例のDNA studyを行い, 細胞周期を解析してその増殖・分裂能を検討した. CGHのG_<0+1>期細胞数は84.9%, S期細胞数8.3%, G_2+M期細胞数7.4%, Proliferation Index(S+G_2+M期細胞数, 以下PI)は15.7%であった. これを正常内膜(増殖前期・後期, 分泌前期・後期), ADH, ATH, 内膜癌G1と比較すると, CGHの細胞増殖・分裂能は, 増殖後期を除く正常内膜より高く, ATH・G1より低くADHと同等と推察された(p: NS). 以上より, CGHの癌化率は低く, PIからCGHはADHと同等の細胞増殖・分裂能を有することが示唆された. また, 内膜癌の共存の可能性もあり, 月経不順, 肥満等を伴うCGH症例では, とくに厳重なfollow-upを要すると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-11-01
著者
-
荷見 勝彦
癌研究会附属病院
-
手島 英雄
癌研究会附属病院婦人科
-
横須賀 薫
癌研究会附属病院婦人科
-
山川 義寛
富山医科薬科大学医学部産科婦人科学教室
-
山川 義寛
富山医科薬科大学産科婦人科学教室
-
手島 英雄
癌研究会附属病院
-
横須賀 薫
至誠会第二病院
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