FIGO III・IV期悪性卵巣腫瘍に対する治療成績 : Neoadjuvant化学療法は有用か?
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概要
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目的:悪性卵巣腫瘍進行例に対するneoadjuvant(NA)化学療法(化療)の有用性をretrospectiveに検討した. 方法:1969〜1991年に当科に登録された悪性卵巣腫瘍患者III期138例, IV期27例を対象とした. このうち159例が開腹され, Optimal debulking (OD:residuum < 2cm)可能と判断された77例(PO群)は基本術式→術後(PO)化療を, OD不可能と判断された82例では生検のみ行われ, そのうち74例がNA 化療を受けた(NA群). すなわち, 同一進行期であっても, 後者のほうがよりaggressive diseaseで, 患者の全身状態は不良であった. 試験開腹さえ受けられなかった6例と, 試験開腹後予定された化療を受けられなかった8例の計14例は不完全治療(untreated:U)群とした. 成績:PO群のOD施行例は35例で, III・IV期の初回OD成功率は35/165(21%)であった. NA群74例中43例で開腹され, 34例(46%)にODが施行された. 化療の奏効率は, PO群はCAP・CP:23/43(53%), FAMT:3/19(16%), NA群はCAP・CP:3/53(81%), FAMT:7/21(33%)で, 後者のほうが勝っていた. 5生率, 生存期間中央値は, PO群;OD→PO(35例):42%, 38カ月, subOD→PO(42例):6%, 18力月, NA群:NA→OD(34例):66%, 82カ月, NA→subOD(40例):7%, 18カ月で, 全体では, PO群:19%, 21カ月, NA群:34%, 31カ月であった. NA→OD群の生存期間はOD→PO群に勝り(p=0.0085), II期71例:54%, 72カ月と同等であった. さらに, NA群ではresiduum < 0.5cmになし得た21例(28%)は, 88%, not reached(NR)で, II期を上回り(p=0.0198), I期152例(92%, NR)と同等であった. 結論:III・IV期悪性卵巣腫瘍に対するstandard modalityは, maximal debulking→術後化学療法(PO化療)→second look operation(SLO)とされているが, これに従える症例は21%に過ぎなかった. 一方, やむを得ず試験開腹に終わった症例の46%がNA化療後にODを受け, 標準治療を受けた症例よりも有意に長期生存することが確認された. よって, 進行例の予後改善策として, NA化療の導入が必要と考えられた.
- 1993-09-01
著者
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