FIGO III・IV期卵巣癌の治療について : Neoadjuvant化学療法を受けた患者の予後因子
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概要
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目的 : FIGO III・IV期卵巣癌患者がneoadjuvant (NA) 化療を受けた際の予後因子について検討した. 方法と成績 : 当科で1969〜1991年に入院治療を受けたIII・IV期卵巣癌患者165例のうち, 74例が初回開腹時"手術不能"と判断され, 試験開腹後にNA化療 (FAMT : 5-FU, cyclophosphamide, mitomycin-C, toyomycin ; CAP : cyclophosphamide, doxorubicin, CDDP ; CP : cyclophosphamide, CDDP) を受けた. 化療の効果 (CR+PR/evaluable) は, CAP : 6+20/33(79%), CP : 4+13/20(85%), FAMT : 2+5/21 (33%) で, 前2者は後者に比し有意に奏効率が高かった (p=0.0010). NA化療後, 43例が開腹手術を受けた. 15例が完全手術, 6例が残存腫瘍径<0.5cm, 13例が0.5cm<残存腫瘍径<2cm, 9例が残存腫瘍径≧2cmであった. したがって, 初回開腹時"手術不能"と判断された74例中, 34例 (46%) でoptimal debulking (OD : 残存腫瘍径<2cm) が可能となった. NA化療が奏効しても, debulkingを受けなかった18例は, NA化療後にODを受けた群より有意に予後不良であった (p=0.0012). CAP/CP群はFAMT群に比べ, OD率が有意に高かった (p=0.0055). 組織型別では, serous, endometrioid typeでOD率が高く, clear cell, mucinous typeではOD率が低い傾向であった. optimalになし得た34例中24例で基本術式, 残り10例で拡大手術が行われた. またODを受けた34例 (NA化療の効果 : CR/PR/MR) の残存腫瘍径を0, <0.5cm, <2cmに細分類して予後を比較したところ, 前2者は生存期間において同等であり, <2cmに比し有意に長期生存した. 結論 : NA化療を受けた症例が長期生存を得るためには, 1) NA化療が有効, 2) NA化療後のdebulking (第2回開腹術時) での残存腫瘍径<2cm, かつできる限り根治性が高いこと, 3) NA化療のregimenがCAP/CP, 4) 組織型がserous, endometrioidであることが, 予後因子として重要であった.
- 1993-07-01
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