閉経と卵巣全摘出による性ステロイドおよび中手骨骨塩量に及ぼす影響の比較検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
閉経後の骨塩量減少も卵巣全摘出(卵摘)後の骨塩量減少もestrogenの低下を主因として生じ, 類似した病態像を呈することから一括して論じられている. しかし, 閉経後約3年位までは閉経例の卵巣機能は著しい低下を来していると考えられるが, 廃絶したわけではない. 一方, 卵摘例の卵巣機能は卵摘直後より消失している. そこで, 両者の性ステロイドの動態には差異はないか, また中手骨骨塩量には差異はないか, を検討することを目的とし, 年齢因子・体格因子・閉経後ないし卵摘後期間をマッチさせた閉経群55例と卵摘群42例, 対照としての未閉経群35例, 計132例に対して, estrogenやandrogenの各種性ステロイドと中手骨骨塩量を測定した. その結果, precursorの17-OH-pregnenolone, 17-OH-progesteroneは, 卵摘群が未閉経群や閉経群に比し, 有意に低値であった. またandrogenのうちandrostenedioneも卵摘群が未閉経群や閉経群に比し, 有意に低値であったが, DHEA, DHEA-sulfate, testosteroneは3群間で有意差を認めなかった. E1_は閉経群と卵摘群が未閉経群に比し, ともに有意に低値であり, しかも卵摘群が閉経群よりも有意に低値であった. またE_2は閉経群と卵摘群が未閉経群に比し, 有意に低値であったが, 両群には差異を認めなかった. また, LH・FSHの下垂体性gonadotropinも両群が未閉経群に比し, 有意に高値であったが, 両群間には有意差は存在しなかった. 一方, 中手骨骨塩量は閉経群および卵摘群が未閉経群に比し, 有意に低値であったが, 閉経群と卵摘群間では, 卵摘群が閉経群よりもやや低値を呈するも, 有意差は認められなかった. 以上より, 閉経後約3年ほ卵巣間質細胞の機能が存続しているため, 卵巣由来のandrogenが分泌されており, 閉経群のほうが卵摘群よりもこれらのandrogenや転換されたE_1は有意に高値であり, 両群に差異を認めた. しかし両群の中手骨骨塩量には差異が認められなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-02-01
著者
関連論文
- 5)社会保険学術委員会(2.専門委員会報告 : 活動の軌跡)
- 50 子宮体癌細胞株におけるAKt-2遺伝子増幅の検討
- 284. 抗子宮体癌モノクローナル抗体を用いた免疫複合体の子宮体癌細胞に対する殺細胞効果の検討(子宮体部IX)
- 5年間ホルモン補充療法を施行し得た症例における骨量に対する効果について
- 39. 女性***癌に対するモノクローナル抗体MRG-1の免疫組織化学的反応性の検討(子宮頸部IX)(一般講演・口演)(第33回日本臨床細胞学会総会)
- 29-II-15 卵巣癌細胞と高頻度に反応するヒトモノクローナル抗体HMOCC-1の作製(泌尿器・生殖器,一般口演,第44回日本組織細胞化学会 第35回日本臨床電子顕微鏡学会 合同学術集会)
- 卵巣癌細胞に対するヒトモノクローナル抗体HMOCC-1の作製とその治療への応用の可能性
- 抗子宮体癌モノクローナル抗体MSN-1の臨床応用への試み (1 腫瘍診断における免疫染色の応用 : 最近の進歩)
- 10. 子宮体癌細胞におけるフコシル化糖鎖発現の組織接着能に及ぼす影響(子宮体部III)(第35回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- 80 各種婦人科悪性腫瘍由来培養細胞株における糖鎖発現異常とその機序に関する検索(子宮体部VI)(示説演題)(第32回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会)
- 285. 酵素免疫測定法(EmC-EIA法)を用いた子宮体癌補助診断法の開発 : 子宮内膜細胞診疑陽性例に対する反応性の検討(子宮体部IX)
- 227 細胞診検体を用いた酵素免疫測定法(EmC-EIA法)による子宮体癌の補助診断法の開発 : 新測定法(NaOH法)と従来法との比較検討(婦人科 その他V)(示説演題)(第31回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会)
- 177. 抗子宮体癌モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーによるTwo color analysisの試み(子宮体部VII)(一般講演・口演)(第33回日本臨床細胞学会総会)
- 76. 子宮体癌診断におけるEndometrial Cell-EIA (EmC-EIA)の有用性について : 子宮腔内細胞診との比較(子宮体部III)(一般講演・口演)(第33回日本臨床細胞学会総会)
- 討論 (子宮体癌の発生と発育)
- 1)生殖・内分泌委員会(2.専門委員会報告 : 活動の軌跡)
- 2)婦人科腫瘍委員会(2.専門委員会報告 : 活動の軌跡)
- 11. 子宮体癌由来細胞株におけるアリルスルファターゼAに関する検討(子宮体部III)(第35回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- マウス精子受精能獲得過程におけるEpidermal Growth Factor(EGF)の作用
- 同じエストロゲンの低下でも, 卵摘早期の骨吸収は閉経早期よりも亢進している
- C-11-1 更年期障害に対するホルモン補充療法の効果とカウンセリングの必要性(セクシュアリティ)
- 更年期障害患者における心理的背景の把握とカウンセリングの必要性について
- 当科中高年健康維持外来受診者の血圧に関する検討
- エストロゲン受容体遺伝子多型と骨密度および骨密度に対するホルモン補充療法の反応性との関係
- 当科中高年健康維持外来受診者1107名における血清脂質に関する検討 : 加齢およびホルモン環境の影響について
- DXA法で測定したL_ BMDの6カ月間の減少を反映する骨代謝マーカーは存在するか?
- 卵巣摘除ラットにおける骨密度減少部位とエストロゲンの3ヵ月補充による骨密度改善部位の検討
- 婦人科更年期外来受診者における骨折閾値に関する検討
- 本邦婦人におけるホルモン補充療法の骨代謝上の good responder は?
- 当院における現状と対応
- Y7-4 子宮頸部小細胞癌のヒトパピローマウイルスによる発癌機構の解析(要望演題7 : 婦人科領域の小細胞癌)
- 369.卵巣癌細胞に発現されるβ1,4-ガラクトース転移酵素の細胞特性に与える影響(卵巣6)(第42回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 子宮体癌患者血清中の抗体が認識する癌抗原の同定 : 体癌の免疫療法にむけて
- 192 細胞浮遊液検体を用いた細胞診標本作成法とHPV-DNA検出法の検討(第41回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 子宮頸部腫瘍におけるp16蛋白質過剰発現に関する検討(第41回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 19 子宮頸部扁平上皮癌および異形成におけるp16INK4aの発現に関する検討
- 1 高危険群HPVタイプの存在を示唆する細胞診断学的所見の検討
- 231 腟壁の異所性子宮内膜症から発生したと考えられるAdenosarcomaの一例
- 284 レーザー円錐切除前後の子宮頸部細胞診でのHPV DNA検索と細胞診・組織診との関連
- 新たに精製されたビンカアルカロイド、コノフィリンの子宮体癌細胞の浸潤能に与える影響 : 第36回日本臨床細胞学会秋期大会 : 子宮体部I
- 子宮頸部腫瘍に対するレーザー療法
- 56 子宮体癌由来培養細胞株における性ホルモンによる硫酸化糖脂質の発現調節に関する検討 : 硫酸基転移酵素を中心に(子宮体部1)(第33回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 血中セロトニン値が高値を示した子宮頚部原発神経内分泌癌の1例
- 血中セロトニン値が高値を示した子宮頸部原発神経内分泌癌の1例 : 第35回日本臨床細胞学会秋季大会 : 子宮頸部V
- 55 子宮体癌細胞に発現されるフコシル化糖類の血管内皮細胞に対する接着に及ぼす影響(子宮体部1)(第33回日本臨床細胞学会秋期大会)
- ヒト精液中の精子数,組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)およびプラスミノーゲンの相関性
- 87. 子宮頸部病変における TA-4の局在(婦人科12:免疫1, 一般演題口演, 第27回日本臨床細胞学会学術集会)
- 79 卵巣癌の各組織型における染色体異常の差異 : 2色FISH法を用いた検索
- 86 2色FISH法を用いた卵巣癌における第1および第17染色体異常の検索
- ワIII-1 2色FISH法を用いた子宮頸癌における第1および第17染色体異常の検索
- 293 軟骨肉腫成分を術前に同定し得た子宮体部癌肉腫の一例
- W-III-8.抗子宮体癌モノクローナル抗体(MSN-1)のフローサイトメトリーへの応用 : その基礎的検討(腫瘍マーカー, ワークショップ(III), 第29回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 子宮体癌細胞を用いたリンパ節転移モデル作製の試み(子宮体部3, 第46回日本臨床細胞学会総会(春期大会))
- 子宮体癌組織移植SCIDマウス血清を用いたSEREX法による癌抗原の同定(子宮体部3, 第46回日本臨床細胞学会総会(春期大会))
- 妊娠初期ヒト絨毛細胞における糖鎖構造の特徴(子宮体部2, 第46回日本臨床細胞学会総会(春期大会))
- 子宮頸部腫瘍におけるHPV16型遺伝子組み込み型の解析(子宮頸部2, 第46回日本臨床細胞学会総会(春期大会))
- 婦人科疾患術後に発症した肺血栓塞栓症における危険因子の検討
- 19-21.子宮体癌におけるエストロゲン依存性増殖に対する硫酸化・脱硫酸化反応の影響(第90群 子宮体部悪性腫瘍7)(一般演題)
- 子宮体癌由来細胞株におけるエストロゲン硫酸基転移酵素の発現に関する検討
- 3 子宮体癌におけるβ-catenin蛋白発現の検討
- 70 婦人科悪性腫瘍由来株におけるI型およびII型糖鎖の発現機序
- ヒト体外受精における新しいhCG投与時期決定法 : 血清LH値の重要性
- 4)教育・用語委員会(2.専門委員会報告 : 活動の軌跡)
- カニクイザルES細胞へのエレクロトポレーション法による遺伝子導入法の確立
- 出生前超音波検査にて臍帯静脈の部分的拡張を認めたKlippel-Trenaunay-Weber症候群の1例
- 27. 子宮体癌の臨床進行期判定における子宮鏡診,部位別頚管掻爬診及び頚管細胞診の意義(子宮体部VI)(第35回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- 29.子宮頸部初期腺系病変の補助的診断法としての2色FISH法の有用性(子宮頸部2)(第42回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 200.卵巣癌由来培養細胞に対するモノクロナール抗体の作製とその認識抗原の扁平上皮癌における局在(婦人科14 : 卵巣, 一般講演・口演, 第31回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- ワIV-2.子宮体内膜増殖症の細胞診の分析(子宮内膜増殖症の細胞診, ワークショップ〔IV〕, ワークショップ, 第31回日本臨床細胞学会総会学術集会)
- 68.子宮体癌培養細胞株と抗子宮体癌モノクローナル抗体(MSN-1およびMSN-2)との反応性 : Two Color Flow Cytometry (FCM)による分析(培養1 : 婦人科, 一般講演・口演, 第30回日本臨床細胞学会総会・学術集会)
- 147 子宮頸部初期腺癌の細胞像(子宮頸部1)
- 子宮頸部小細胞癌におけるヒトパピローマウイルス感染の解析
- 66 子宮体内膜細胞におけるWntシグナルに対する性ホルモンの影響の検討
- 21. 卵巣癌におけるムチン性糖鎖抗原の免疫組織化学的解析 : 5種のモノクローナル抗体の異同を中心に(卵巣I)(第32回日本臨床細胞学会総会)
- 181 子宮体部漿液性腺癌におけるc-erbB2の増幅 : 2色FISH法の応用(子宮体部5)
- 反復自然流産における各原因頻度の統計的検討
- 標準抗血清を用いた, 抗リン脂質抗体症候群の診断と流産予後の判定
- 習慣流産免疫療法前後の母体免疫能の変動
- 子宮内膜症例におけるDanazolの骨塩量および骨代謝動態への影響 : 投与前と投与終了7カ月後の比較検討
- 卵巣全摘出による骨塩量減少症の病態解析 : QCT法およびCa調節ホルモンを中心として
- 閉経に伴う骨塩量と骨代謝動態の変化
- 145 新たな子宮頸腟部細胞採取器具LONSTENNの有用性の検討(子宮頸部1)(第33回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 215 合成レチノイドTAC-101による卵巣明細胞腺癌細胞に対する抗腫瘍効果の検討(卵巣・その他5)
- 婦人科領域(婦人科疾患手術後)における肺血栓塞栓症
- VII-1 ホルモン補充療法施行中に社会環境的要因が引き金となりうつ状態を呈した1例(第VII群)(第33回日本女性心身医学会学術集会・第17回日本心理医療諸学会連合大会抄録)
- VI-6 被虐待女性に見られた不定愁訴と抑うつの3症例(第VI群)(第33回日本女性心身医学会学術集会・第17回日本心理医療諸学会連合大会抄録)
- VI-4 カウンセリングにより改善がみられた外陰痛の一例(第VI群)(第33回日本女性心身医学会学術集会・第17回日本心理医療諸学会連合大会抄録)
- 子宮体癌細胞におけるβ14ガラクトース転移酵素の発現 : 第35回日本臨床細胞学会秋季大会 : 子宮体部IX
- 368.卵巣明細胞腺癌由来培養細胞の増殖特性にかかわる分子の検索(卵巣6)(第42回日本臨床細胞学会秋期大会)
- 子宮体癌に対する高用量黄体ホルモン療法施行症例のゲノム変化と再発との関係
- 39. 各種子宮頸部病変における TPAの局在(示説, 第24回日本臨床細胞学会秋季大会記事)
- 更年期高血圧症に対する塩酸アロチノロールの有用性に関する検討
- 更年期障害患者への心身医学的アプローチの必要性 : 不定愁訴と精神力動の関わりから(第25回日本産婦人科心身医学研究会)
- 3)周産期委員会(2.専門委員会報告 : 活動の軌跡)
- 20 卵巣明細胞腺癌におけるTGFβII型受容体(TβRII)の発現量が予後に与える影響(卵巣 1)
- 細胞表面の糖鎖構造の変化が卵巣癌腹膜播種形成に与える効果の検討 : MUC1を中心として
- 117 肉腫を強く疑った子宮頸管ポリープの一例(子宮頸部 6)
- β_2-glycoprotein I非依存性抗リン脂質抗体症候群の一例
- 妊娠中期母体血清α-fetoproteinおよびhuman chorionic gonadotropinのMoM値の算出における妊娠週数, 母体体重, 母体年齢の影響について
- 67. 中皮における接着因子の発現と,卵巣癌細胞の中皮,内皮に対する接着性の検討(中皮・体腔II)(第35回日本臨床細胞学会総会学術集会)