養護教諭の行う創傷処置に関する研究 : 閉鎖療法の導入に向けて
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概要
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従来,創傷処置は消毒する・乾燥させることを原則として行われてきた。ところが,医療の場において消毒しない・乾燥させない『閉鎖療法』が行われるようになった。このことは養護教諭にとって学校現場での創傷処置の見直しを迫られるものであった。そこで「傷の治り方の基礎知識」講演会に参加したA県内養護教諭および養護助教諭を対象に創傷処置に関してのアンケートを実施し156名の有効回答があり,以下の結果を得た。1.現在の擦りキズ・切りキズに対する手当ては,『従来の方法』(水洗い,消毒,ガーゼ,乾燥)と回答した者が88.5%,『閉鎖療法』(水洗い,湿潤環境,消毒はしない)と回答した者が5.8%であった。2.『従来の方法』と回答した者138名のうち,これからも『従来の方法』を行っていくと回答した者は4.5%であった。『閉鎖療法』を導入したいと回答した者は92.5%であった。3.これからも『従来の方法』を行っていくと回答した者は,保護者(家庭)の理解の困難を理由にあげていた。4.すでに『閉鎖療法』を実施している者では,保護者(家庭)の理解の困難や家庭での処置の継続の困難をあげていた。5.従来の創傷処置において,消毒したり乾燥させたりすることがよくないのではないかという体験があると回答したものは54名(34.6%)いた。6.今後開催してほしい研修内容については,「最新の医学情報の提供」,「専門医による講演」,「救急処置」などが多かった。養護教諭が創傷処置に閉鎖療法を導入するにおいて,さまざまな課題が明らかとなった。自分たちの行う行為に対して,エビデンス(根拠)を追求することは重要なことである。
著者
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葛西 敦子
弘前大学教育学部教育保健講座
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赤木 光子
青森県立青森第二高等養護学校
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船水 郁里
青森県上北郡野辺地町立馬門小学校
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葛西 敦子
弘前大学 教育学部
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船水 郁里[他]
青森県上北郡野辺地町立馬門小学校
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