右被殻出血と半側空間失認
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概要
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被殻出血例で病初期からの半側空間失認(USA)の出現頻度とその持続期間に関する報告は少ない.急性期の右側被殻出血例にUSAテスト(大土井の診断基準, 1975)を施行した.詳細な検査を繰り返して施行することで, 12例中7例(58%)と高率にUSAを認めた.CT上平均前後径が32mmの軽症例では約1カ月, 前後径57mmの重症例では約3〜4カ月USAが持続した.このうち重度の神経脱落症状を合併する1例では10カ月後にも症状が持続していた.USAのない5症例(平均前後径35mm)との比較検討から, 運動麻痺, 感覚障害, 同名性半盲, 共同偏視の重症度, およびCT上の血腫の大きさと, USAの出現頻度, その持続期間に相関があると思われた.以上のごとく, USAは右半球の皮質のみならず, 被殻出血例にも高頻度にみられる病態であった.被殻出血例のリハビリテーションの開始時には, その効率を上げ予後を知る意味から, USAの存在の可能性につき銘記すべきである.
- 社団法人日本リハビリテーション医学会の論文
- 1996-06-18
著者
-
佐伯 直勝
千葉大学脳神経外科
-
角南 兼朗
川鉄千葉病院
-
佐伯 直勝
千葉大学医学部脳神経外科
-
佐伯 直勝
千葉大学医学部脳神経学科学教室
-
岡 信男
千葉大学脳神経外科
-
尾崎 裕昭
川鉄千葉病院脳神経外科
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