モモ栽培品種, 野生タイプおよびその交雑個体の果実重, 中果皮細胞数および細胞径の品種間差異と年次変動について

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栽培モモ, 野生タイプおよびこれらの交雑個体について, 果実重と中果皮細胞の数および大きさ, 成熟期等との関係を検討した.果実重は野生タイプで極めて小さく20∿80g, 栽培品種・系統では60∿300gと品種による差が大きかった.また, 細胞数, 細胞径にも品種による大きな差異が認められた.野生タイプは小さな細胞数を示すことで特徴づけられた.栽培品種と枝垂れ性またはわい性花モモ品種との雑種およびその後代系統は両親の中間的な数値を示した.これらの結果から, 中果皮細胞数は量的形質であると推定された.栽培品種・系統の中果皮細胞数と果実重の相関係数は, 1993年にはr=0.812, 1994年には0.805, 1995年には0.728と高い有意な値を示した.しかし, 中果皮細胞径と果実重の相関は, 栽培品種系統では1994年に0.264, 1995年に0.319と低く, 関係は明瞭ではなかった.全ての品種・系統について中果皮細胞数と果実重, および細胞径と果実重の相関を求めると, その係数は高くなり, 細胞径と果実重の間にも有意な相関が認められた.栽培品種・系統の成熟期と果実重, 細胞数との間では, 有意ではあるが比較的低い正の相関が認められた.供試品種・系統全体で果実重, 細胞数, 細胞径について年次間の相関をみると, それぞれにr=0.925, 0.888, 0.672の値が得られたが, 栽培品種・系統に限定するとこれらの相関はr=0.886, 0.919, 0.543と細胞径の相関係数が他の2つの係数に較べて低くなった.これらの結果から, 果肉の細胞数が品種毎の果実の大きさに大きな影響を及ぼし, その値も比較的安定していること, これに対して細胞の大きさは果実重には大きな影響を及ぼすものの変動が大きく, 不安定であることが明らかになった.
園芸学会の論文
2002-07-15

モモ栽培品種, 野生タイプおよびその交雑個体の果実重, 中果皮細胞数および細胞径の品種間差異と年次変動について

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