ウメ果実の肥大に伴う果肉細胞分裂,細胞肥大およびヤニ果発生率の品種間差異

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果実の大きさの異なるウメ6品種を用いて,満開から完熟に至るまでの果実径,内果皮および種子の肥大経過を調査するとともに,赤道部中果皮細胞径を測定し,中果皮細胞数の推定値(中果皮細胞数指数)を得た.これらの数値をもとに,供試品種の中果皮細胞分裂の時期および速さ,最終的な細胞数指数の比較を行った.また,無品何のヤニ果発生率を調査するとともに,果頂部の中果皮細胞径の測定を行い,両者の関係を検討した.果実重が6gと小さい'甲州最小'の中果皮細胞分裂停止は満開後4週目頃となり,他の品種に較べて極めて早く,最終的な細胞数指数も50余りと極めて小さい値を示した.これに対して,果実が60g余りの果実重を有する'豊後(平塚)'の中果皮細胞分裂停止時期は満開後約50日と最も長く,細胞数指数も140前後に達した.また,その他の4品種は90〜110程度の細胞数指数となった.中果皮細胞数は最終的な果実重に強い影響を及ぼした.ヤニ果の発生率には品種による差異が明瞭であり,果頂部における発生率は'月世界'で50%,'白加賀'で11.8%,'加賀地蔵'で3.0%であった.一方,中果皮細胞径と果頂部細胞径は極めて高い有意な正の相関を示し,その回帰直線の傾きには品種による差異が認められた.この傾きの数値は果頂部ヤニ症状の発生率との間で有意な高い正の相関を示したことから,果頂部のヤニ症状の発生は他の部位に先行して進む細胞肥大により,内果皮と中果皮の間に生じた空隙に樹脂が充満することで発生すると推察された.
園芸学会の論文
2004-05-15

ウメ果実の肥大に伴う果肉細胞分裂,細胞肥大およびヤニ果発生率の品種間差異

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