潮風害による樹勢低下ウンシュウミカン樹における光合成産物の転流・分配特性

概要

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ウンシュウミカンの潮風害樹において, 被害後半月および翌年夏の回復過程の光合成産物の転流・分配, ならびに各器官におけるシンク力の特徴を被害程度別に, また着果との関連について検討した.1. 潮風害による落葉被害が大きいほど, 地上部, 地下部の脱落量が多かった.またS/R比は被害が著しい樹体ほど高くなった.2. 被害を受けた翌年夏の回復過程においては, 無着果樹の光合成産物は被害甚樹では小・中根に60%が分配され, 地下部の回復に最も多く利用された.被害軽樹では春枝への分配率も高かった.3. 被害再現試験による被害後半月の無着果樹では, 光合成産物の分配率は旧枝・主幹, 春葉, 太根, 旧葉の順に高く, 地上部の占める割合が大であった.着果樹では果実への分配率がきわめて高く, シンク力も大きいことが明らかであった.4. 被害を受けた後, 着果させたままの樹体では, 落葉程度が高くなり, 細根の量および呼吸量が低下した.これらのことより着果は樹勢回復を左右するきわめて大きな要因であると結論された.
園芸学会の論文
1999-01-15