カンランのγ線照射胚の培養による生存率の向上
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概要
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放射線による突然変異育種方法の改善の一つとして,突然変異率を高めるため発育中の胚に高線量のγ線を照射した後,その胚を培養によって可能な限り生存発育させようと試みた。供試材料として金盃と改良富士を用い,5kRの4日間および20kRの1日間照射を行なった。照射の時期は受粉後9〜22日目の球形胚期および早期のハート形胚期であった。胚培養は受粉後28〜52日目に行ない,結果を培養後40〜80日目に調査した。さらに照射当代の種子稔性および発芽率も調べた。発芽率は両照射区とも0%で致死線量であることが確認された。これと同じ線量で照射された胚の培養を試みると,胚の茎葉形成率,胚の根形成率および培撞後のポットヘの移植時の生存率は,低線量率照射(5kR/日)の方が高線量率照射(20kR/日)より若干高かった。培養に一よる効果は,金盃と改良富士の品種間で大きな差は認められたかった。照射時期の違いによる培養後の胚の茎葉形成率,胚の根形成率および培養後の移植時の生存率は,受粉後9〜13日目の若い時期の照射の方が,受粉後18〜22日目の発育の進んだ時期の照射よりも高かった。結論として胚培養により高線量照射された胚を生きつづげさせ,生存率を向上させることができた。
- 日本育種学会の論文
- 1984-06-01
著者
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