放射線処理が胚形成におよぼす影響 : II.γ線照射によるカンランの胚,胚乳および胚珠の細胞分裂・伸長の障害
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概要
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第1報でハクサイの胚,胚乳の細胞分裂・伸長は,放射線により著しく抑制されることが明らかにされたので,カンランにおいても,ハクサイの場合と同様の目的で,各組織の分裂・伸長が放射線によってどのようた障害を受けるかまた,その障害の組織間差を量的に明らかにしようとした。材料は,カソランの品種「金盃」を用い,受粉5日後の前歴と受粉10日後の球形胚に^6^0Coγ線10KRおよび20KRを1目急照射した。照射時および照射後6,9,12,15日に胚珠を固定し,その後パラフィン切片を作成して,胚の縦・横の長さ,胚の細胞数,頂部・基部胚乳の核数,胚珠の縦・横の長さを測定した。また,上と同一の照射時期の種子稔性と発芽についても調査した。種子稔性と発芽は,両照射時期とも,放射線処理による影響が大きく,10KR照射では,O〜29.7%,20KR照射では0%であった。胚の大きさ(胚の縦・横の長さ)は,放射線により強く抑制され,受粉5日後(前歴)照射より,受粉10日後(球形胚)照射で影響が大きく,ハクサイと同様の結果となった。胚の細胞数および胚乳の核数は,胚の大きさと同様に放射線により大きな障害を受け激減した。胚珠の大きさは,放射線による影響が小さかった。胚細胞の大きさは,ハクサイと同様に照射区では,対照区よりも大きく肥大した。形質間の放射線の影響は,胚の細胞数が最も強く,次に胚の伸長,胚乳の核数,胚珠の伸長の順であった。
- 日本育種学会の論文
- 1980-06-01
著者
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