Tulipa gesneriana と T.fosteriana における細胞学的研究
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概要
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Tulipa gesneriana と T.fosterianaの種内・種間交雑後,胚のう形成,胚発育,発育中の胚と胚乳の染色体数および種子発芽後の根端細胞の染色体数についてそれぞれ観察した。胚のうは開花5〜7日後には8核が観察され,成熟していた。同じ時期の受粉5日後(開花6〜7日後)には受精も完了した。受粉から受精までの期間が5日と長くかかるのは,胚のうの発達速度が遅いことと,花柱が長いため花粉管が珠孔に到達するのに長時間を要するためと考えられる。発育中の胚と胚乳の染色体数の調査結果から,胚のう内の8核は珠孔側の4核が半数性で,合点側の4核が2倍性であることが推定された。さらに胚乳は雄核と2つの極核の融合によるものとは考えられず,1つの極核が単独に発達するか,あるいは雄核と1つの極核が融合して発達するかのいずれかであると推察された。種間交雑が困難な理由は種子形成の調査結果から判断すると,胚乳の発達が悪いこと及び胚と胚乳の不和合栓による胚の致死によると考えられた。T.gesneriana Niphetos(2X)×T.fosteriana Red Emperor(2X)の種間交雑では,3倍性と2倍性の種子がそれぞれ2個と1個ずつ得られた。この事とT.gesneriana×T.fosteriana Red Emperorから得られたDarwin Hybridチューリップの大部分が3倍体であり,しかも同じ種間交雑によることを考えると,ある種のT.gesneriana と T.fosterianaの種間交雑では3倍性の種子が得られ易いと推察される。
- 日本育種学会の論文
- 1982-03-01
著者
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