放射線処理が胚形成におよぼす影響 : I.γ線照射によるハクサイの胚および胚乳の細胞分裂・伸長の障害
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概要
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胚,胚乳の器官形成におよぼす放射線処理の影響を詳しく比較検討するために,胚の大きさ(胚の縦・横の長さ),胚と胚乳の細胞数および核数,胚細胞の大きさ(胚の横の長さX縦の長さ/胚の細胞数)が放射線によってどのような障害を受けるか,また,その障害の組織間差を対照区に対する比を用いて数量的に明らかにした。材料としてハクサイの品種,「改良千歳」を用いた。照射時期は,受粉3日後の接合子から受粉6日後の球形胚までのいろいろな時期に^60Coのγ線;10KRおよび20KRを1日間急照射した。照射後1日と6日に胚珠を固定し,パラフィン切片によって,胚の細胞数,胚の縦と横の長さ,頂部・基部胚乳の核数を測定した。また,同一の照射時期の種子稔性と発芽についても調査した。種子稔性と発芽は,受粉3日〜6日後のいずれの照射でも,10KR照射よりも20KR照射で大きく影響を受けた。胚の大きさは,受粉5〜6日後の発育の進んだ時期の照射ほど,対照区に比べて短かくたった。胚の細胞数および胚乳の核数は,照射により著しく障害を受け減少Lた。細胞の大きさは,照射により対照区の数倍の大きさを示したが,これは照射によって細胞分裂が抑制されたため,細胞の異常肥大が誘起されたことによる。放射線の影響は,胚の細胞数が最も大きく,次いで胚の縦・横の長さ,胚乳の核数の順となる。
- 日本育種学会の論文
- 1980-03-01
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