ネギの細胞質雄性不稔性を利用した F_1雑種の雑種強勢と自殖弱勢
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概要
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ネギの細胞質雄性不稔性を利用して得たF_1雑種の雑種強勢と生長率および自殖系統の自殖弱勢が,幼苗重,葉鞘重および一株全重で調査された.材料は細胞質雄性不稔個体(雄性不稔個体に細胞質雄性不稔維持系統加賀を2回戻し交雑をしたB2)と,経済品種6である.第1試験では経済品種4つを使って細胞質雄性不稔個体x経済品種の雑種(F_1),経済品種の兄弟交配系統(Sib)および自殖系統(S)として,第2試験では経済品種2つを使って自殖を2回重ねた系統を自殖1代(Si)と自殖2代(S2)として育成した.第1試験の3者(F_1,Sib,S)の比較から次のような結果を得た.幼苗重では,4品種のF_1すべてに大きな雑種強勢が認められた.しかし,葉鞘重では,生育の初期で岩槻(Y-5)のF_1に雑種強勢が観察されただけで,その他の品種には観察されなかった、この試験でのネギの雑種強勢は生育が進むに従って小さくなるのが特徴であった.葉鞘の1日当り生長率(葉鞘重)は,生育初期で3者(F_1,Sib,S)間で大きな差はなかったが生育後半ではSibが最も大きかった.一株全体の1日当り生長率(一株全重)は,F_1では生育の初期から中期にかけてSibおよびSと比較して余り変らないが,収穫期に近い後期でSibおよびSより劣った.それに対しSibおよびSの1日当り生長率は,生育の中期から後期にかけてF_1より増加した.第2試験の兄弟交面己系統と自殖系統(Sl,S2)の比較による葉鞘重および一株全重は,S1からS2世代へと自殖が進むに従って減少した.結論としてこの試験のネギの雑種強勢は生育の初期には大きいが,後期には小さくなった.また,自殖弱勢も若干認められた.
- 日本育種学会の論文
- 1985-06-01
著者
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