カンランのγ線照射胚の培養によって得られたM_1とM_2個体の生育と葉緑素突然変異
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
γ線照射胚の培養によって得られたM_1個体の種子の結実率および発芽率,M_2世代における葉緑素突然変異個体の出現率について検討した。材料は,カンランの品種,金盃と改良富士で高線量(20kR)照射された胚から培養によって得られたM_1個体とそのM_2世代(M_1個体の自殖),M_1個体間の交雑によって得られた後代および放任受粉の後代である。培養によって得られたM_1個体の生存率(発育個体/移植個体)は,対照区の50〜58%に対し,照射区では0〜100%(平均25%)であって比較的低かった。定植後のM_1個体の生育は,対照区と照射区で大きな差は見られなかった。M_2個体の自殖およびM_1個体間の交雑による種子の結実および発芽は,照射区においても認められた。M_1世代の幼苗期には,改良富士にぺ一ルグリーン4個体が出現した。成熟したM_2個体にも金盃と改良富士に黄色と緑色のキメラの変異個体が認められた。放任受粉によるM_1個体の種子の結実率は,自殖および交雑による場合よりも高かったが,種子の発芽率はその逆で低かった。放任受粉の幼苗期の変異は,ぺールグリーン,アルビノおよび本葉が黄色と緑色のキメラが出現した。葉緑素突然変異個体の出現率は,系統当り照射区のM_2世代の幼苗期で自殖後代が14.3%,交雑による後代が0%,照射区のM_2世代の成熟期で自殖後代が28,6%,交雑による後代が33%であった。放任受粉では,対照区が5.6%,照射区が18%であった。以上の結果から高線量照射後,胚培養によって得られた個体の葉緑素突然変異個体出現率は,高められたものと推測される。
- 日本育種学会の論文
- 1984-09-01
著者
関連論文
- ワックスおよびワックスレスネギ幼苗の越冬前と越冬後定植による花球形成の差異
- ネギ幼苗の越冬前と越冬後の定植時期別による花球形成
- ネギのワックスレス遺伝子を利用した自家受粉率の推定
- ネギの耐湿性に関する基礎的研究
- カンランとハクサイにおけるプロトプラスト培養及び再分化
- 一本ネギおよび分げつネギにおける農業形質の回帰分析
- ネギの遺伝子雄性不稔交配後代の花球および幼苗形成
- チューリップの試験管内自家受粉による花粉発芽, 花粉管伸長, 胚珠への花粉管侵入および胚乳形成
- チューリップ属の自家受粉による柱頭, 花柱および子房上部内の花粉管伸長
- ネギ3品種群の品種内容異
- ネギの幼苗と成熟個体の越冬性
- ブラシカ属におけるカンランおよびハクサイの雑種後代の育種学的研究
- ネギの細胞質雄性不稔性を利用した F_1雑種の雑種強勢と自殖弱勢
- 放射線照射後のハクサイの胚,胚乳および母性組織の組織化学的観察
- ハクサイの照射胚の摘出成功率と胚の大きさ
- ネギの細胞質雄性不稔の遺伝様式
- 胚培養によるハクサイ照射胚の生存
- カンランのγ線照射胚の培養によって得られたM_1とM_2個体の生育と葉緑素突然変異
- カンランのγ線照射胚の培養による生存率の向上
- ガンマ-線照射後のハクサイの胚と胚乳の組織学的観察
- 一本ネギおよび分げつネギにおける農業形質の回帰分析
- カンランの胚形成に対する放射線処理の影響と突然変異に関する研究
- Tulipa gesneriana と T.fosteriana における細胞学的研究
- ネギの細胞質雄性不稔の遺伝様式
- ハクサイとカンランの照射胚の培養後の組織学および組織化学的観察
- ガンマ-線照射によるカンランの胚発生器官の障害
- 放射線処理が胚形成におよぼす影響 : II.γ線照射によるカンランの胚,胚乳および胚珠の細胞分裂・伸長の障害
- 放射線処理が胚形成におよぼす影響 : I.γ線照射によるハクサイの胚および胚乳の細胞分裂・伸長の障害
- ガンマ-線照射によるハクサイの胚発生器官の障害
- アブラナ属のAゲノム種(ハクサイ)とCゲノム種(カンラン)との種間交雑-3-ハクサイ×カンランの種間雑種の胚および胚珠培養
- アブラナ属のAゲノム種(ハクサイ)とCゲノム種(カンラン)との種間交雑-2-正逆交雑における交雑不稔の組織化学的観察
- アブラナ属のAゲノム種(ハクサイ)とCゲノム種(カンラン)との種間交雑-1-正逆交雑における交雑不稔の組織学的観察