1. 予測可能性概論 (1998年度日本気象学会春季大会シンポジウム「予測可能性 : カオスへの挑戦」の報告)
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概要
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本講演では, 数値天気予報の歴史を振り返り, E.N.ロレンツが提起した予測可能性の問題について概説した. これは大気の変動がカオス的であることに起因する問題である. 初期値に含まれる誤差は予報期間が延びるにしたがって急激に拡大するので, ある期間以上の予報が不可能になる. しかし, その本質を理解し工夫を凝らすことによって, 予測の限界を先に延ばすことができる. このような予測可能性に関する基礎理論の構築とそれを踏まえた現業への応用が気象力学の今日的な課題の1つとなっている. まず, 実際の1週間予報の例を用いて予報誤差が変動する様子を概観し, 理論的な基盤となる有限時間リアプノフ安定性について述べた. そして, 簡略化した非線型モデルから現業の数値天気予報モデルまでの階層的なモデル群を用いて, このような概念と解析手法がどのように使われ得るかを紹介した, 理論の展開において各自の定義や用語が氾濫している現状なので, ここでは理論部分を中心にできるだけ統一的に詳述しておく. ただし, 理論の詳細は多くの人が興味をもつところではないので, 講演ではその要点を述べるに留めた.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1999-03-31
著者
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