イネの葉鞘細胞内でのいもち病に対する真性抵抗性と圃場抵抗性機能の発現
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概要
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真性抵抗性と圃場低抗性の組合せは今後の病害低抗性育種の一つの方向と考えられる。両者を組合せようとするとき,真性低抗性の働いている状態で圃場抵抗性の検定ができれば組合せ育種におけるその利用価値は大きい。ここでは葉鞘接種でこの点が可能であるかどうかを知ると共に葉鞘細胞内での低抗性遺伝子の表現の時期を知るために研究を行なった。 これまでに知られている真性低抗性遺伝子のうち,Pi-a, Pi-i, Pi-k, Pi-zをもつものに遺伝子をもたないものを含め,それぞれの遺伝子型の中に圃場低抗性の違う3品種を用いて菌糸研54-20を9.2葉期の葉鞘に接種した。その結果真性抵抗性の働いている場合には圃場低抗性に関する品種間差異は見られなかった。 真性抵抗性が働く場合,その細胞内で菌糸がある程度伸びないと圃場低抗性の検定は望めない。そのため,より若い時期の葉を用いて圃場低抗性検定の可能性を探ったが,成功しなかった。 真性抵抗性の遺伝子によりその作用時期は異なり,Pi-k, Pi-k^p, Pi-k^k, Pi-z, Pi-z^tとPi-b遺伝子は細胞に貫入する前か貫入期かその直後に働きPi-i, Pi-ta,Pi-ta^2遺伝子は細胞内に貫入した後に働くことが観察された。細胞への菌糸の侵入率も遺伝子型により異なるため,抵抗性の品種間差異を見るためには侵入率も考慮すべきであることを示している。そのため菌糸の伸展度を[numerical formula]により計算した。 褐変細胞は中度抵抗性の品種上で,また病原力の弱い菌糸を使ったときに多く見られた。 新2号型の3品種の葉鞘に7菌糸を接種Lたところ,3品種の圃場抵抗性と平行的な結果がえられた。しかし,7菌糸の注射接種のときに現われる病原力との間の相関は必ずしも高くなかった。
- 1975-06-30
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