新潟県における Pi-k イネ品種のいもち病による罹病化過程の童回帰分析
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概要
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低抗性品種の罹病化に関してはこれまでに低抗性品種の作付面積の増加に伴ない生ずる病原性菌系の発生とその選択的増殖によるとする研究は2,3見られるが,その因果関係を充分に追究した研究は見当らない。ここでは岩田らによってえられたPi-k品種(いもち病抵抗性遺伝子Pi-kをもつ品種)の罹病化について重回帰分析を行なった。変数として次のものを用いた。過去5年間におけるPi-k品種の郡市別の作付面積率〔A_5,A_4,A_3,A_2,A_1(それぞれ5,4,3,2,1年前の作付面積率),A_T(A_5〜A_1の合計)〕,1年前のPi-k品種の罹病作付面積率〔l_kとh_k(lは葉いもち病,hは種いもち病)〕,1年前のPi-k^+(罹病性)品種の罹病作付面積率(l_+とh_+),l_k/l_+とh_k/h_+の対数(l_Bとh_B),当年のPi-k品種の罹病作付面積率(L_kとH_k),当年のPi-k^+品種の罹病作付面積率(L_+とH_+),L_k/L_+とH_k/H_+の対数(L_BとH_B)。重回帰分析の結果を主として自由度で調整された重相関係数(「重相関係数」)を用いて比較した。A_5,A_4,A_3,A_2,A_1を個々に独立変数として用いたときとそれらすべてを用いたときのL_B,L_k,H_B,H_kに対する寄与度を比較した場合,すべてを用いたときの寄与度(「重相関係数」)が最も大きく,これらの合計値(A_T)を単独で用いたときには,個々に全部を用いたとき(A_5A_4A_3A_2A_1)よりも小さい値を示した。これらの5年間の作付面積率の寄与度はA_3,A_2,A_1が大きく,A_5,A_4は小さく,過去3年間の作付面積率のPi-k品種の罹病度(L_k,H_k)や罹病化度(L_BとH_B)におよぼす影響の大きいことを示している。Pi-k^+品種の罹病度(l_+,h_+,L_+,H_+)のL_kやH_kに対する寄与度はきわめて小さく,ほとんど影響のないように見られた。前年の罹病化度指数(l_Bとh_BのL_k,L_B,H_k,H_Bに対する寄与度は大変大きい。しかし,L_kとH_kに対するl_kやh_kの寄与度よりも僅かに小さい傾向が見られた。当年の葉のいもち病罹病度(L_k)や罹病化度(L_B)の穂の罹病度(H_k)や罹病化度(H_B)に対する寄与度は計算されたもののうち最も大きい。
- 日本育種学会の論文
- 1975-04-30
著者
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