白クローバーの胚珠培養

概要

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"試験管内受精法"を育種に利用するための基礎として、白クローバーの胚珠培養を試みた。開花後4〜5日を経過した胚珠には、初期球状胚が認められるが、このような胚珠を胎座から切り取って培養すると、NITSCHの培地だけでも若干の成熟種子が、得られたが、イーストエキスおよびNAAを添加した培地では、よく発育して多数の発芽可能の種子が得られた。これに反し受精直後の胚珠の培養では、上述の培地でも、またさらにジベレリン、カイネチンなどを組合せても、全く成熟種子が得られなかった。受精直後の胚珠を培養するために、種々な植物の未熟果実から得た果汁を培地に加えたところ、キュウリおよびスイカの果汁は顕著な効果を示し、開花翌日の胚珠も、わずかではあるが発育して、発芽可能の種子となった。また、キュウリ果汁にジベレリンを組合せた培地では、開花後5日目の胚珠は、実にその90%が成熟種子に発育した。このような実験から、キュウリあるいはスイカの未熟果実中に、胚珠の発育に有効な物質が存在すると考えられた。
日本育種学会の論文
1969-10-31