カンラン類1染色体添加型ダイコンの育成
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概要
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ダイコン(2n=18,RRゲノム)にカンラン類(2n=18,CCゲノム)の形質を効率よく導入するため,人為合成されたRaphanobrassica(2n=36,RRCCゲノム)を通じてカンラン類1染色体添加型ダイコンの育成を試みた。本報告では,2系統のRaphanobrassicaとダイコンとの交雑第1代および第2代植物の細胞学的た特徴と形態を調査し,1染色体添加型ダイコン育成の可能性を検討した.Raphanobrassica×ダイコンの9組合せから,受粉花あたり最高1.5粒の種子を得た.こうして得た4組合せ31個体のF_1植物の染色体数は,半数以上が二基三倍体(2n=27,RRC)であった.二基三倍体にダイコンを戻交雑したB_1F_1植物では,2n=18〜25の個体が得られ,そのうち24.6%が2n=19植物であった.2n=19植物は,形態的特徴として部分的にカンラン類の形質を示し,減数分裂第1中期(MI)の染色体対合は,9個の二価染色体(II)と1個の一価染色体(I)が主であったことから,1染色体添加型ダイコンと認められた.これらは,各個体ごとに独特の形質を示したので分類を試みたところ,7種類(a〜g)までは分類できた.それらのうち,a,c,dとe添加型は,形質がはっきりしていたので識別が容易であった.1染色体添加型ダイコンは,理論上は9種類であるが,7種類しか識別できなかった.これは,R-Cゲノム間でいくつかの染色体が対合することがあり,この場合は乗換が起るため,添加染色体の発現形質の識別カミ困難にたったものと思われた.Lたがって,完全た9種類の1染色体添加型ダイコンを育成するには,ダイコンとカンランとの複半数体F_1植物(2n=18,RC)で18Iとなり染色体の対合しにくい個体か,複二倍体(2n=36,RRCC)で高頻度に18IIを形成するなど,R-Cゲノム間で部分交換が起りにくい個体を母本としてダイコンとの間に二基三倍体(2n=27,RRC)を作出し,これにダイコンを戻交雑することがよいものと考察した.
- 日本育種学会の論文
- 1987-12-01
著者
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