アブラナ属の種間交雑に関する研究: I. B.campestris 群×B.oleracea 群における雑種胚の発育におよぼす温度の影響と子房培養による交雑成功率の向上
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概要
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アブラナ属のモノゲノム種間の交雑成功率を高め,より多くの雑種F_1植物を得るために,B.camperstris (n=10群)とB.oleracea (n=9群)との問で交配を行い,雑種胚の発育におよぼす温度条件の影響について検討した。通常の交配の場合では,莢当りの雑種胚形成率は,交配20日後の調査でみると,15℃交配区(15℃で交配し,そのまま20日間経過したもの)よりも25℃区の方が高く,20℃区は25℃区の値に近かった。しかし,いずれの温度区においても,雑種胚形成率が交配母本によって著しく異なり,交配温度区間の差異よりも大きい場合もあることから,両種間における個体レベルでの交雑和合性の存在が示唆された。交配5日後に子房培養を試み,その後15日目(交配20日後)に調査したものでも,25℃の高温条件で交配し,そのまま5日間経過させ,さらに25-20℃(昼一夜)の高温条件で培養したものが,他の温度条件下のものよりも雑種胚が多く,胚も大きかった。子房培養35目目に調査Lたものも,交配時及び子房培養期の温度が高いものほど胚が大きくなり,また未成熟なまま発芽する雑種胚が多くみられた。一方低温条件で培養したものは,胚としての緩慢な生長が維持され,完熟胚の方向に発育してゆくものと考えられた。更に,子房培養することによって得られた雑種胚を胚培養することによって,これまで報告された結果よりもはるかに高い交雑成功率が得られた。以上の結果から,交配時および子房培養期の温度条件が本種間交雑の成功率を左右する1つの大きな要因と考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1978-09-01
著者
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