ダイコンとBrassica属野生種との新しい属間雑種植物の作出

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ダイコン(Raphanus sativus)とBrassica属の3種4系統(B. fruticulosa ssp. cossoneana strain 201, B. fruticulosa ssp. mauritanica strain 401, B. maurorum and B. oxyrrhina)との交雑親和性を明らかにするとともに属間雑種植物を作出するため正逆交雑を行った。交雑親和性は花粉発芽指数(P. G. I.),通常の交配方法によるin vitroでの雑種胚の発達および子房培養によるin vitroでの雑種胚の発達を観察することによって評価した。交雑親和性の調査において,ダイコンが雌親の場合,Brassica属の花粉の発芽はよいが,大部分の花粉管の伸長は乳頭上で妨げられた。少数の花粉管は胚珠付近まで伸長したものの,雑種胚の発達率は低かった(Tab1e 1)。Brassica属が雌親の場合にはダイコンの花粉管の伸長や雑種胚の発達がよりよく,その逆交雑に比べて比較的高い交雑親和性を示した(Tab1e 1)。ダイコンとBrassica属の3種4系統とのF_1雑種植物の作出はダイコンを雌親に用いた時,ダイコン×B. fruticulosa-401の胚培養によってのみ1個体のF_1雑種植物が得られた。Brassica属を雌親に用いた場合は全組合せから子房培養と胚培養の併用によって200個体のF_1雑種植物が得られ,更にB. oxyrrhina×ダイコンの組合せでは通常の交配からも12個体のF_1雑種植物を得た(Table 2)。F_1雑種植物の形態的特性は花弁の色と根部肥大を除き,両親の中間であった。Brassica属の3種×ダイコンの組合せから得た12個体のF_1雑種植物の花粉母細胞の減数分裂第1中期(MI)において三価や多くの二価染色体の形成を示し,それらの花粉稔性は完全不稔から70.2%までの広い変異を示した。コルヒチン処理によって誘起された6個体の複二倍体F_1雑種植物は,MIにおいて比較的安定した染色体対合を示し,それらの花粉稔性はそれぞれの組合せから得られた複半数体F_1雑種植物に比べて高い値を示した。本研究で新たに得られたダイコンとBrassica属とのF_1雑種植物は,ダイコンを含むアブラナ科作物の遺伝的多様性を図る際に有望な素材として利用できるものと思われる。
日本育種学会の論文
1997-09-01

ダイコンとBrassica属野生種との新しい属間雑種植物の作出

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