海洋大循環モデルから求めた全球海洋上の淡水フラックス分布
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概要
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大気との境界条件として,Hellerman and Rosenstein(1983)の風応力とLevitus(1982)の海表面温度(SST),海表面塩分濃度(SSS)を使用して復元境界条件を与えた海洋大循環モデルから海洋全域の季節変動する淡水フラックス分布を診断的に求めた.この淡水フラックス分布には蒸発量と降水量の差だけではなく大河川による淡水の流入及び海氷の凍結,融解にともなう淡水フラックスの変動も含まれる.本研究の結果を,大気データから求められたもの(Baumgartner and Reichel,1975:Moore and Reason,1993)と比較した場合,強流域(メキシコ湾流,黒潮,赤道海流,フォークランド海流,南極周極流等)に系統的な食い違いが存在するが,全体的な淡水の補給と除去の分布は互いに一致する.さらに,淡水フラックス分布の季節変動についても大気大循環モデルの結果等と比較検討したが,定量的な違いはあるものの定性的にはそれらの蒸発量と降水量の差と同一の変動及び空間分布を示す.以上の結果は,全海洋上の淡水フラックス分布を求める方法としてSSSと海洋大循環モデルを使って診断的に求める方法が有効であることを示している.今回の研究から淡水フラックスの強流域での見積もりの誤差は海洋大循環モデルによる擬似的な移流効果から発生しており,表層でのエクマン境界層を解像し,強流の大陸からの離岸の再現性を良くすればその欠点は解消する可能性がある.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1994-04-30
著者
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