SSM/I可降水量および降水域情報のデータ同化の水蒸気解析と短期間降水予報へのインパクト
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概要
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SSM/I(Special Sensor Microwave Imager)から算出された, 可降水量および降水域情報の有効性を見積るために, 本研究はこれらのデータを用いて日本域スペクトルモデル(JSM)の相対湿度と発散場を改変する, データ同化手法を開発した. このデータ同化手法は以下の手順からなっている: (1) 通常の客観解析値を用いてJSMの予報を行ない, SSM/Iデータのデータ同化のためのバックグラウンドデータを作成する. (2) SSM/Iで観測された降水域では, 相対湿度を気温減率の関数である臨界相対湿度まで増やし, JSMの降水スキムが降水を作るようにする. (3) SSM/Iの観測非降水域では, SSM/I可降水量とバックグラウンドデータの可降水量の差を各レベルの相対湿度のインクレメントに分配し, 相対湿度を改変する. この分配には, JSMの可降水量の予報誤差と各レベルの相対湿度の予報誤差の統計的相関を利用した. (4) 相対湿度の改変の後に, 降水過程を含む非線形ノーマルモードイニシャリゼイションを行ない, バックグラウンドデータの発散場を調節する. 本研究のデータ同化手法は1988年7月12日21UTCの事例で, 降水予報の位置ずれを12時間以上にわたって減少させた. データ同化の手順を変えた予報実験の結果は: (1) モデルの降水域かつ観測非降水域では, 可降水量のデータ同化がモデル降水域を消すのに有効であった. (2) SSM/Iの降水域情報のデータ同化は観測の降水域にモデル降水をつくのに有効であった. 可降水量のデータ同化はまた対流圏下層の相対湿度の予報も改善した. これは, 可降水量の予報誤差とこのレベルの相対湿度の予報誤差が高い統計的相関を持っていることが原因である.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-02-25
著者
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