Economical Prognostic Arakawa-Schubert スキムについての物理的初期値化手法
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概要
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降水の観測データを数値予報モデルヘ導入するため, Arakawa-Schubert型スキムの1つである, Economical Prognostic, Arakawa-Schubert(EPAS)スキムについての物理的初期値化手法を開発した. 本研究の物理的初期値化手法は, 変分法を用いて, 降水域と降水強度についての強い拘束条件のもとで初期値化されたモデル予報変数と第1推定値との差を最小にするものである. EPASの降水に関する仮定を適用すると, この物理的初期値化手法は以下の2つの部分に分けられる:(1)初期の熱力学場の補正によってモデル降水域を初期の観測降水域と同じにする.(2)初期の Cloud Base Mass Fluxの補正によってモデル降水強度を初期の観測降水強度と等しくする. この物理的初期値化手法の効果を調べるために, 台風9407号の周辺のレーダーアメダス解析雨量を導入した予報実験('94年7月23日00Z初期)を行なった. この予報実験の結果は, 本研究の物理的初期値化手法は, 最初の1時間に見られた降水予報の立ち上がり誤差を解消したこと, また数時間にわたって降水予報の位置ずれ誤差を減少させたことを示す. これらの結果以下のことを示唆している:(1)初期のCloud Base Mass Fluxの補正が降水予報の立ち上がり誤差の解消に不可欠である. (2)初期のCloud Base Mass Fluxの補正は観測の強雨域付近でモデルの対流性降水を強めることで降水予報の位置ずれの減少に寄与している. (3)初期の熱力学場の補正は観測非降水域内の非常に対流不安定な部分を除去することで降水予報の位置ずれの改善に寄与している.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1997-04-25
著者
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