10% Nitroglycerin (NT-1 原薬) のウサギにおける経皮亜急性毒性試験
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概要
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ニトログリセリンテープ (NT-1) の原薬をウサギ背部皮膚に連続5週間塗布してその皮膚局部の反応と全身への影響を検査し下記の結果を得た。1. NT-1 原薬塗布によって皮膚は軽度の発赤 (Draize 評点 2〜3) を生ずるがこの発赤は塗布日数を重ねるにつれて軽くなって行き, 休薬すると間もなく消失する。またこの発赤は親油性軟膏に依っても生じ, むしろ NT-1 原薬より強く (Draize 評点4, 痂皮を伴う) 現れる。組織学的には角質層ならびに偏平上皮の肥厚, 真皮の細胞浸潤, 皮下組織の毛包の発達がみられる。NT-1 原薬による上述の皮膚反応はニトログリセリン自体によるものでなくその溶媒たる基剤によるものと察せられる。2. 動物の一般状態および諸種検査結果は大多数のものについては変化は認めなかったが, 一部のものに Bordetella bronchiseptica の感染を惹起して肺炎による死亡を来たした。これは NT-1 原薬塗布と無関係の群にも発症し, 恐らくニトログリセリンの亜硝酸が遊離蒸散して飼育室内空気を汚染しその刺激性が呼吸器を障害し感染を誘発したものと察せられる。3. 以上要するに NT-1 原薬の240 mg (ニトログリセリンとして)/kg (物理的に塗布可能な最大量)によっては, 塗布皮膚面の局部的にも, 動物個体の全身的にも何ら障害は認めろれなかった。従って NT-1 原薬の 240 mg/kg/day は最大無影響量で, 確実中毒量はこれ以上と推定される。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1986-05-01
著者
-
菊森 幹人
株式会社環境バイリス研究所
-
菊森 幹人
株式会社 環境バイリス研究所 (旧社名 環境保健生物研究センター)
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神山 八郎
株式会社 環境バイリス研究所 (旧社名 環境保健生物研究センター)
-
谷口 雄三
株式会社 環境バイリス研究所 (旧社名 環境保健生物研究センター)
-
谷口 雄三
株式会社環境保健生物研究センター
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島田 かおる
株式会社環境保健生物研究センター
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神山 八郎
株式会社環境保健生物研究センター
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浜井 義則
株式会社環境保健生物研究センター
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平尾 隆一
株式会社環境保健生物研究センター
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西森 司雄
株式会社環境保健生物研究センター
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山本 博昭
株式会社環境保健生物研究センター
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西森 司雄
環境バイリス研
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平尾 隆一
株式会社 環境バイリス研究所 薬理研究部
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西森 司雄
株式会社環境バイリス研究所 研究部
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