水稲品種の直播適応性に関する試験
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概要
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1.湛水直播向品種を探索するために, 内外品種を用いて湛水散播条件下における肥料および密度反応を, 主として収量および収量関連形質の面から検討した。2.直播栽培区での苗立歩合は均一であり, 密播区の苗立数は疎播区の約3倍であった。3.稈長は移植区より直播区で短稈化する傾向にあった。4.穂長, 実穂長共に直播区で短くなった。逆に穂長と実穂長の差は直播区で大きくなった。5.穂数は直播区で多くなり, 移植区の約2倍であった。6.1穂籾数は直播区で減少した。この事は穂数にみられたのと逆の現象である。7.登熟歩合は直播区で低下する傾向を示した。またキ移植, 直播区共, 栽植密度にかかわらず多肥によって低下した。8.玄米収量は概して移植区より直播区で高くなる傾向があった。また移植, 直播区共, 多肥によって高くなった。一方直播区の少肥条件下では疎播によって, 逆に多肥条件下では密播によって相対的に増収する傾向にあった。9.直少疎区では奥羽282号, 直少密区ではトヨニシキ, トドロキワセ, 直多疎区, 直多密区ではトヨニシキがそれぞれ最高の収量を示した。これらの品種の増収要因は各区での穂数の増加によるものである。10.外国稲はいずれの処理区においても, 概して日本稲より低収であった。この原因は主として登熟歩合が低かった事による。11.移多区での品種の収量順位と直播区(直多疎区を除く)におけるそれはほぼ平行関係にある事がわかった。12.直播栽培各区間での収量順位もほぼ平行関係にある事がわかった。13.移多区において耐倒伏性の強い藤170, レイメイが直播区において倒伏するといった逆転がみられ注目された。
- 1975-03-16
著者
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