ウニコナゾールPによる矮性化がソラマメの耐雪性に及ぼす影響
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概要
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人為矮性化がソラマメの耐雪性に及ぼす影響を明らかにする目的で, ジベレリン生合成阻害剤ウニコナゾールPを出芽直後に処理した実生の雪害程度, 非構造性炭水化物(NSC)含有率および雪腐病抵抗性を調査した.その結果, ウニコナゾールP処理によって根雪前の草姿は矮性化し, 根雪62日後の雪害程度は無処理個体よりも大幅に低下した.しかし, 耐雪性に関与するとされるNSC含有率は無処理個体よりも人為矮性化個体で低く, また, 積雪下を模した低温暗黒条件におけるNSCの減少率に処理間差が認められなかった.一方, 切り葉を用いた雪腐病菌接種試験において, 人為矮性化個体の葉の病斑長は無処理区よりも明らかに短く, 抵抗性が強いことが示された.人為矮性化個体の葉は無処理と比較して濃緑で厚く, 葉肉細胞が大きく, その密度が高いことが観察された.これらの結果から, ウニコナゾールPによる人為矮性化はアラレによる根雪前の傷害を回避するのに適するだけではなく, ソラマメ葉身の雪腐病抵抗性を高め, NSC含有率の増加を伴わずに耐雪性を強化することが示された.さらに, 矮性化に伴って生じる葉組織構造の変化も耐雪性に影響するものと考えられた.
- 日本作物学会の論文
- 2001-09-05
著者
-
荒井 治喜
九州沖縄農研
-
湯川 智行
北海道農業試験場
-
福田 直子
花き研究所生理遺伝部
-
荒井 治喜
中央農業総合研究センター
-
福田 直子
北陸農試
-
松村 修
中央農業総合研究センター北陸研究センター
-
福田 直子
北陸農業試験場
-
福田 直子
花き研究所
-
湯川 智行
農研機構本部
-
湯川 智行
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター北陸大規模水田作研究チーム
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