フッ化物多数回処理が合成ハイドロキシアパタイト表面性状に及ぼす影響に関するX線光電子学的研究

概要

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フッ素処理回数を増加した場合の合成ハイドロキシアパタイト (HAp) 表層に及ぼす影響を明らかにする目的で, 3種類のフッ素濃度 (100ppm, 1,000ppm, 9,000ppm) のフッ化ナトリウム (NaF) 溶液およびリン酸酸性フッ化ナトリウム (APF) 溶液を用いて1, 2および4回処理したときのHApの最表層および4層目をX線光電子分光 (ESCA) で分析し, HAp表層に取り込まれたフッ素の化学的状態について検索した. APF処理群では, フッ素濃度9,000ppmにおいて処理回数を増加させても, フッ素取り込み量およびCaF_2の生成にはほとんど差がなく, 高いフッ素取り込みを示した. また, CaF_2の生成は最表層より4層目に多く, かつ安定した割合で存在した. しかし, フッ素濃度1,000ppmおよび100ppmでは, APF処理回数の増加にともないフッ素取り込み量が増加し, 最表層では4回のAPF処理を行ってもFHApの生成しか起こらなかったが, 4層目では4回処理においてCaF_2の生成を認めた. 一方, NaF処理群では, 各フッ素濃度とも処理回数の増加にともないフッ素取り込み量はやや増加する程度であったが, 取り込まれたフッ素は最表層ではFHApを生成し, 4層目では2および4回処理においてCaF_2を生成した.
大阪歯科学会の論文
1991-04-25