顎口腔領域の疼痛刺激が前頭皮質ドーパミン代謝に及ぼす影響
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概要
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われわれはマイクロダイアリシス法を用い, 前頭皮質のドーパミン代謝にミダゾラムが及ぼす影響について検討した.体重200〜280gのSprague-Dawley系雄性ラットを全身麻酔のあと, 前頭皮質に相当する部位にガイドカニューレを固定した.次に頸部の皮膚を切開剥離して外頸静脈を露出させ, 小動物用ディスポシーベルキットを留置して静脈路を確保した.さらに電気刺激を与えるために, 眼窩下神経の支配領域にあたる左側上唇部に極間距離2mmの双極釣針電極を埋め込み, 皮下を通しまとめて後頸部より露出させた.実験は手術後1週間飼育したのちに行った.前頭皮質のドーパミンの測定はマイクロダイアリシス法を用い, 高速液体クロマトグラフィーでドーパミン量を測定した.実験群をA群(侵害刺激のみを与えた群)とB群(侵害刺激に加えてミダゾラムを与えた群)に分けた.A群は刺激直後よりドーパミン量が増加し, 電気刺激20分後には170%, 60分後には261%まで上昇し, そのままプラトーとなった(20分後, 60分後, 120分後で有意差があった).これはラットが覚醒しているために, 疼痛, ストレスや不安により引き起こされた変化ではないかと考えられた.一方, B群は刺激後よりドーパミン量が減少し, 電気刺激20分後には84%, 60分後には63%となり, そのままプラトーとなった(60分後, 100分後, 120分後で有意差があった).両群間を比較すると, コントロールを除くいずれの側定点でも, A群がB群よりも有意に高い値を示した.この原因として, ミダゾラム投与により不安やストレスが軽減されることにより, 上昇が抑制されたのではないかと考えられた.
- 大阪歯科学会の論文
- 1999-12-25
著者
-
加藤 裕彦
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
上田 裕
小松病院麻酔科
-
田村 仁孝
小松病院歯科口腔外科
-
古玉 克平
寝屋川サナトリウム歯科
-
森 尚美
大阪歯大・大学院・歯科麻酔
-
佐久間 泰司
大阪歯大・歯科麻酔
-
岡 正樹
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
上田 裕
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
田村 仁孝
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
吉川 洋史
大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座
-
佐久間 泰司
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
岡 正樹
大阪歯科大学大学院歯学研究科
-
森 尚美
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
古玉 克平
大阪歯科大学歯科麻酔学講座
-
上田 裕
大阪歯科大学歯科麻酔学教室
-
佐久間 泰司
大阪歯科大学
-
上田 裕
大阪歯科大
-
吉川 洋史
大阪歯科大学 大学院 歯科補綴
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