一過性全脳虚血後の遅発性神経細胞死におけるアポトーシスの関与

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一過性全脳虚血時における脳血流量および脳温の動態は,その後,引き続いて起こる遅発性神経細胞死(delayed neuronal death)の発現に影響する最も大きな因子となる.本研究は,脳血流量および脳温の変化から脳虚血病態が確実に生じたと考えられる実験動物のみを対象として,海馬CA1領域の錐体細胞の変化を形態学的および免疫組織化学的に観察し,遅発性神経細胞死におけるアポトーシスの関与について検討した.実験には,セボフルラン麻酔下の砂ネズミを用いて,硬膜上の脳温および局所大脳皮質血流量を連続的に測定しながら,両側頸動脈を5分間閉塞したあと,血流を再灌流させる一過性全脳虚血モデルを作製した.脳虚血後,3および7日後に安楽死させ,パラホルムアルデヒドにより灌流固定後,脳を摘出し前頭断の試料を作製した.通法により作製したパラフィン切片は,ヘマトキシリン・エオジンおよびTdT-mediated dUTP-digoxigenin-nick end labeling (TUNEL)法によりそれぞれ染色し,光顕レベルで形態学的および免疫組織化学的観察に供した.また,一部の摘出試料はグルタールアルデヒドとパラホルムアルデヒド混合液で固定し通法により超薄切片を作製して二重染色を行い電顕レベルで観察した.その結果,TUNEL陽性反応が海馬CA1領域錐体細胞に散見され,電顕的にも核クロマチン濃縮などのアポトーシス様変化を示す細胞が観察された.以上のことより,一過性全脳虚血後の遅発性神経細胞死にはアポトーシスが関与していることが示唆される.
大阪歯科学会の論文
1999-09-25

一過性全脳虚血後の遅発性神経細胞死におけるアポトーシスの関与

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