S-(4-Methylsulfonyloxyphenyl) N-methylthiocarbamate (Methasulfocarb) のイネ苗成長調節作用に関する基礎的研究
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概要
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S-(4-メチルスルホニルオキシフェニル)N-メチルチオカルバマート(メタスルホカルブ, カヤベスト^[○!R], NK-191)の水溶液を用い, やや低温の条件で行なったイネの水耕栽培でメタスルホカルブは濃度0.2 ppmから12.8 ppmで苗の根の伸長を促進し, とくに3.2 ppmから12.8ppmで著しかった.メタスルホカルブ10%粉剤の用土500 ml当りの原体換算量で9 mgから720 mgの播種前土壌混和処理(以下メタスルホカルブ80 mg処理などと記す)で23日苗, 34日苗および41日苗の根のα-ナフチルアミン酸化力を増大させた.メタスルホカルブ80 mg処理は播種後12日目から14日目まで2日間5℃の低温処理を行なった14日苗の根のα-ナフチルアミン酸化力の低下を軽減した.メタスルホカルブ40 mgから160 mg処理は35日苗の第2葉と36日苗の第3葉の葉緑素含量を増加させ, この作用は第2葉で著しかった.メタスルホカルブ27 mgから240 mg処理は40日苗の第3葉の葉緑素保持力を増強させた.さらにメタスルホカルブ80 mg処理は22日苗の第3葉の切り取り直後の水分減損率を増大させる傾向であった.以上のようにメタスルホカルブの播種前土壌混和処理はイネ苗の根の生理的活力を高め, 葉緑素含量も高く保持する.これらの作用がイネの健苗化ならびにムレ苗防除効果と密接に関係があるものと考えられた.本稿を草するに当たって発表の機会を与えられた日本化薬株式会社化学品事業本部農薬事業部長大森正己氏, 同上尾研究所長石田秀弌博士ならびにメタスルホカルブの合成に携わった同研究所手島石夫氏に深謝の意を表する.
- 日本農薬学会の論文
- 1986-05-20
著者
-
大森 薫
日本化薬株式会社上尾研究所
-
中川 泰三
日本化薬株式会社上尾研究所
-
中川 泰三
Ageo Research Laboratory Agrochemicals Division Fine Chemicals Group Nippon Kayaku Co. Ltd.
-
大森 薫
福岡農総試
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吉田 博
Ageo Research Laboratory, Agrochemicals Division, Fine Chemicals Group, Nippon Kayaku Co., Ltd.
-
吉田 博
日本化薬株式会社化学品事業本部農薬事業部上尾研究所
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太田 保夫
農林水産省野菜試験場
-
吉田 博
日本化薬
-
大森 薫
キリンビール
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