精神科病棟における筋力トレーニングの意義の検討

概要

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【研究の背景】精神科病棟では、近年の高齢者増加傾向と薬物療法の副作用から、転倒・転落事故が増加しており、その防止策の一つとして筋力トレーニング(筋トレ)を実施している。当初より患者の参加率が高く、本来の目的以外にも何か治療的効果因子があるのではないかと考え、本研究に着手した。【目的】精神科病棟で実施しているラジオ体操・筋トレ・レクリエーション(レク)への患者の参加状況を調査・分析し、筋トレの治療的意義を検討する。【研究方法】調査期間:平成13年8月20日〜9月16日。調査対象:精神科病棟入院患者全員(ベッド数40床)外泊、外出患者は除く。調査方法:ラジオ体操、筋トレ、レクへの患者の参加状況を毎日チェックする。調査項目:年齢、性別、入院期間、疾患名、看護度、ラジオ体操・筋力トレ・レクへの参加状況。分析方法:各変数の累積をクロス集計しχ^2検定した。【結果および考察】1.対象の特性(1)調査期間中の延べ人数:1015名(2)性別:男性325名(32.0%)女性690名(68.0%)(3)平均年齢:46.02歳(4)対象となった患者の主な疾患:精神分裂病313名(30.8%)うつ病427名(42.1%)。(5)平均入院日数:51.95日2.年齢・種目別参加率の比較:40〜59歳のうつ病患者では、レクの参加率は低いが、ラジオ体操や筋トレへの参加率は高く、60歳以上のうつ病患者においても同様の傾向はみられた。そのため、うつ病であっても、下肢筋力の衰えを意識しはじめる中高年の患者は、体操や筋トレに参加する意欲があると考える。また、40〜59歳の分裂病患者の筋トレ参加率が有意に高いのは、この活動が短時間で、対人交流を要しない気楽さが原因の1つになっているのではないかと推測される。3.入院期間・種目別参加率の比較:うつ病患者は、入院初期のラジオ体操や筋トレへの参加率が低いが入院期間が長くなるほど参加率は高くなり、50日以上では約50%に達する。これは、症状も安定し退院をふまえた体力づくりを意識していることが影響していることが考えられる。また、入院期間が長くなってもうつ病患者のレク参加率が低いのは、筋トレなどに比べ、他患者との交流を要することも影響していると思われる。
2002-03-01

精神科病棟における筋力トレーニングの意義の検討

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