南極昭和基地付近の内陸地域で採取された10m深の積雪コア解析(日本南極地域観測隊の報告)
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概要
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南極大陸みずほ高原の「S100」地点(南緯69°38.1',東経42°51',標高1630m)から採取された10mの深さまでの積雪コアについて,低温実験室内にて層構造,粒度,密度,硬度などの測定を行なった.さらに表層1mの鉛直断面の薄片写真から密度の微細分布,比表面積の測定を行なった.本報告では,これらコア解析の手順,測定方法,結果について述べる.10mの深さまでの間で,密度は0.4〜0.6g/cm^3,硬度は数〜数10kg/cm^2でいずれも下層ほど大きな値を示した.粒度は,しまり雪層でc(1.0〜2.0mm),しもざらめ雪層でd(2.0〜4.0mm)が多く,それぞれ各層の全長に対して80%,69%を占めた.硬度(H)と密度(ρ)の関係をべき函数として回帰させ,H=4000ρ^8kg/cm^2を得た.薄片写真からコアの鉛直方向1mmの間隔で求めた密度は,同一雪層の中でも大きく変動したが,その平均値は秤量法による密度とほぼ一致した.比表面積は,しまり雪層で36.5cm^2/cm^3,しもざらめ雪層で28.3cm^2/cm^3を示した.積雪の諸性質の周期的変動に着目して推定された年間積雪量(最近2ヵ年の平均:6.6g/cm^2)は,同地点で雪尺により測定された結果(5.3g/cm^2)と近い値を示した.本解析作業には,筆者等のほかに奥平文雄,中尾正義,石川信敬,上田豊が参加した.
- 国立極地研究所の論文
著者
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成瀬 廉二
Npo Glacier And Cryospheric Environment Research Laboratory
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成瀬 廉二
北海道大学低温科学研究所
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成田 英器
北海道大学低温科学研究所
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山田 知充
北海道大学低温科学研究所
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山田 知充
Institute Of Low Temperature Science Hokkaido University
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遠藤 八十一
北海道大学低温科学研究所
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