鶏肉の加熱調理 : 骨の有無が食味に及ぼす影響
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概要
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鶏肉を骨つきで調理するか, 骨なしで調理するかの違いが食味に及ぼす影響を明らかにした。その調理方法は蒸し加熱とし, 加熱時間, 鶏肉の加熱終了時の内部温度, 加熱速度の面から検討した。雌ブロイラーの左右胸肉を試料として用いた。1) 沸騰蒸し器で20分加熱する場合は, 骨なしに比べ骨つきは低温で緩慢に加熱されるため, 加熱速度が遅く, 加熱終了時の内部温度は低め(骨なし:88℃, 骨つき:76℃)であった。2) 1)のテクスチャー(かたさ)は骨つきの方がやわらかく, 多汁性に富んでいたが, 5'-IMPなどのうま味成分に差異は認められなかった。3) 1)の顕微鏡観察では, 骨なしの筋細胞は締まって収縮しており, かたさと正の相関があった。4) 1)の官能検査では, 骨つきのほうが骨なしに比べ, 有意にやわらかく, 多汁性に富み, 好まれた。この結果は物理的な測定結果とよく対応していた。5) 骨なしの内部温度が76℃になった時(約13分)加熱をやめ, 骨つきはさらに加熱を続けて76℃(約20分)で加熱を終了とした場合は食味はかなり接近した。6) 骨なしの加熱速度を遅くして, 骨ありと同じ温度(76℃), 同じ時間(20分加熱)で加熱を終了すると両者の差異はみられなかった。7) 鶏肉中の骨は, 熱伝導を緩慢にし, 筋肉の収縮を抑制するため, 76℃で加熱を終了するならば, やわらかく, 多汁性に富む肉とすることに役立っていた。
- 日本調理科学会の論文
- 1998-11-20
著者
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