香辛料によるスープ中細菌の増殖阻害
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概要
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鶏がらスープ中細菌の増殖を防ぐために、黒こしょう、タイム、クローブと月桂葉の4種の粉末香辛料を加えて室温に保存し、スープ中の細菌数を混釈平板培養法で求め、次の結果を得た。1.香辛料をそのままスープに加え、15分沸騰して室温におくと、香辛料を加えない対象よりも細菌数が増大した。これは特に黒こしょうの汚染細菌に原因があると思われる結果を得たので、香辛料を加熱殺菌してスープに加えた。その結果4種の香辛料各0.05%添加でもある程度スープ中の細菌増殖を抑制したが、各0.125%添加では、室温で9日間増殖をほぼ阻止した。2.E. coli を接種したスープでは、各0.125%の添加でも増殖阻害効果は弱かった。しかしS. aureus を接種したスープでは各0.05%添加である程度増殖を阻害し、0.125%添加では生菌数の減少がみられた。酢酸を加えてpH5としたスープ中では、E. coli は香辛料に関係なく増殖しなかった。S. aureus の場合は増殖は弱くなったが、各0.125%添加しても生菌数の減少はみられなかった。3.4種の香辛料のうちではクローブの阻害作用が最も強かったが、他の3種も抗菌作用に関与していた。4.クローブ抽出液をブイヨン培地に加えた場合に比して、スープにこれらの香辛料を0.125%加えると香味が強すぎるので、pHを5程度に下げて0.05%添加するのが実際的であると考えられた。
- 日本調理科学会の論文
- 1988-12-20
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