氷冠雪上の電波伝播特性(超高層物理部門)(<特集>南極シンポジウム)
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概要
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1.目的 万年雪,高圧気泡入氷からできた氷冠域において,雪氷の高周波誘電特性雪,表面の電波の反射吸収特性,比抵抗等を測定することにより,極地方の氷冠内における電波伝播特性の解析,氷冠上にて使用するアンテナの設計,通信回線の設計等のための資料を得ることを目的とし,1.5,10,100,250,300,400,3000Mcの各周波数毎に,(1)容量置換法,レッヘル線により,誘電率,誘電体損(tanδ)を,(2)ハイトパターン法により反射,吸収係数を,コーラウシュブリッジにより比抵抗を測定し,数種のアンテナにより通信を行ない電界強度を測定した.また気温逆転層による300,3000Mcのフェーディング特性,万年雪にまい没したアンテナと空間のアンテナとのインピーダンス,指向性パターン等も測定した.2.結果 実測の結果,万年雪および氷冠氷の比誘電率の値は非常に小さく,周波数の増加,密度の減少とともに減少する.誘電体正切特性の値も非常に小さく,周波数の増加とともに激減する.反射係数もHF帯では小さく,周波数の増加とともに増加する,従って氷冠の雪氷上で使用するアンテナは表面の雪の比誘電率が1に非常に近いので,雪面上に直接導線を置くだけの非常に簡単なアンテナで,ほぼ自由空間とみなし得る輻射が得られることが解り,秋春の大陸旅行において実証することができた.なお,測定に使用した機器は昭和基地にて製作したため帰国後検定中であり,期日の都合で今回は現在までに得られた較正データのみ中間報告として発表する.海氷上の電波伝播はVHF以下の周波数帯では大略海水面と同じ特性を示し,UHF以上はその表面の状態(氷,雪)の影響が大きい.なお偏波面は氷冠上が水平,海氷上は垂直が良いようであった.
- 国立極地研究所の論文
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