攣縮性斜頸患者に対する鍼治療効果 : 安静椅坐位および頸部動作時における表面筋電図による検討

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平成9年6月に発症し,薬物療法およびMAB療法をおこなったが,緩解には至らなかった攣縮性斜頸患者(23歳,男性)に対して,本学附属診療所神経内科において平成10年5月より,週1回の間隔で鍼治療をおこなった。初診時および,長期での鍼治療効果について,安静時と頸部動作時の臨床所見の変化および表面筋電図検査結果から検討した。初診時の鍼治療前,安静椅坐位では,左胸鎖乳突筋および左板状筋に軽度の筋活動亢進を認め,頸部肢位は左回旋および左側屈を呈した。頸部動作は,右回旋,屈曲および伸展の動作が困難であった。この結果,罹患筋である左板状筋に対して左外関穴への鍼治療をおこなった。鍼治療後は左板状筋の筋活動が軽度に減少し,安静時の頸部肢位には変化なかったが,鍼治療前に困難であった頸部動作が円滑になり,表面筋電図所見でも動作パターンの改善が認められた。長期の鍼治療では頸部症状の変化に対応して,外関穴,後谿穴,あるいは合谷穴に対する置鍼と,筋短縮を認める左板状筋上への散鍼をおこない,安静椅坐位における頸部肢位の改善および坐位での頸部動作の円滑化と表面筋電図所見の正常化を認めた。攣縮性斜頸患者に対する鍼治療は,安静時の筋緊張と頸部肢位とを改善するだけでなく,頸部動作の円滑化にも有効であることが示唆された。鍼治療は,本疾患に対する治療の選択肢として,西洋医学的治療とともに考慮されてよい治療法である。
1999-09-30

攣縮性斜頸患者に対する鍼治療効果 : 安静椅坐位および頸部動作時における表面筋電図による検討

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