<原著>体幹の偏倚を伴った攣縮性斜頸患者に対する鍼治療

概要

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平成12年2月に発症し,重度の頸部右回旋に体幹の左回旋を伴った攣縮性傾斜患者(34歳,男性)に対して,同年4月より本学附属診療所神経内科において週1回の間隔で鍼治療を行った。初診時の鍼治療前における表面筋電図において安静坐位時および頸部左回旋時に右板状筋の筋活動亢進,左回旋時に右胸鎖乳突筋の筋活動不全が認められた。また頸部および体幹の持続的な偏倚によって二次的に生じた,右大胸筋の皮膚および筋短縮,右側頸部の皮膚短縮を認めた。以上の評価から,鍼治療は仰臥位で右側頚頸部および,右大胸筋上部の皮膚短縮を改善する目的で,同部位に対して集毛鍼による刺激を行い,頸部全体の筋緊張緩和を目的として百会,右板状筋の筋活動抑制を目的に右後谿,右胸鎖乳突筋の筋活動促通を目的に右合谷,右大胸筋の筋短縮に対して右衝陽にそれぞれ置鍼を行った。鍼治療開始3ヵ月後には,安静時の頸部姿勢が改善し,それに伴って体幹の姿勢も改善した。また,頸部左回旋動作の円滑化を認めた。体幹の偏倚を伴った攣縮性斜頸患者に対しても表面筋電図を評価し,適切な鍼治療を行うことによって症状を改善させうることが示唆された。
関西鍼灸大学の論文
2002-09-20