鍼鎮痛発現時と安静閉眼時に出現するアルファ波のカオス時系列解析による比較検討

概要

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一般に,鍼鎮痛発現時には頭皮上にアルファ波が広汎に分布するdiffuse alpha patternがみられるという。この時の単一時系列波形は,安静閉眼時に出現するアルファ波と比較してFFTなどの周波数解析では明確な差異がみられない。そこで健常人8名を対象に,安静閉眼時と鍼鎮痛発現時の脳波を記録し,これら脳波のカオス解析を行い,次元構造を観察することでその特徴を検討した。その結果,安静閉眼時,鍼鎮痛出現時の両脳波は埋め込み次元4において最大の相関次元を示した。鍼鎮痛発現時脳波は安静閉眼時脳波と比較して整ったアトラクターで周期性が観察でき,第1リアプノフ指数はその結果を反映したものになった。また,8個の電極を同時に重ね書きしたものでは,安静閉眼時では,全てが同期する場合,2つのクラスターに分かれる場合,ランダムな場合に分かれたが,鍼鎮痛発現時においては8chすべてが位相の同期をしめした。これは同期,非同期の変化により機能を呈する結合カオスの表現型であることが考えられた。
関西鍼灸大学の論文
1998-06-30