哺乳類の卵胞刺激ホルモンに対する放射受容体測定法によるニワトリ下垂体前葉抽出物の解析 : 等電点電気泳動を用いた検討

概要

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哺乳類の卵胞刺激ホルモン(FSH)に特異的な放射受容体側定法(RRA)を用いて,ニワトリ下垂体前葉ホルモンに対する特異性を検討した。100日齢の雄ニワトリの下垂体前葉の粗抽出物を等電点電気泳動で分画したものを,ラット卵巣の受容体と標識ラットFSHおよびラットFSH標準品を用いた哺乳類FSHに対するRRAで測定したところ,アルカリ性から酸性の,広いpH領域にわたる陽性画分が検出された。このうち,もっともアルカリ性の画分(等電点pI=10.0)はニワトリ黄体形成ホルモン(LH)に対するラジオイムノアッセイ(RIA)でも検出された。一方,このRRAに陽性でRIAに陰性の画分は6個認められた(pI=8.17〜5.90)。さらに,本来ニワトリのFSHの等電点として報告されている付近(pI=4.60〜4.19)にはRRA陽性の画分はほとんど認められなかった。このことから,このRRAはニワトリFSHの特異的な測定には適しておらず,他のニワトリ下垂体前葉ホルモン(LHや甲状腺刺激ホルモンなど)を高感度に検出するものと考えられた。このRRAについて検討をさらに進めることは,比較内分泌学的に意義深いものと考えられる。
岐阜大学の論文
1997-12-26