種々の光周期変化に対するニワトリひな松果体におけるセロトニンN-アセチルトランスフェラーゼ活性の変動
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概要
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ニワトリひな松果体におけるセロトニンN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)活性の日周リズムにおよぼす種々の明暗光周期の影響を調べた.16日齢ニワトリひなの松果体NAT活性には顕著な日周リズムが認められ,42日齢になると明期暗期ともにNAT活性値が増しさらにリズムが顕著になり,平均10倍の昼夜のNAT活性比を保ちメラトニンを生合成していることが認められた.14時間照明(5時点灯19時消灯)10時間暗黒(19時消灯5時点灯)の14L:10D下で飼育した16日齢ニワトリひなを,暗期(19〜5時)の10時間のうち4〜5時間だけ暗黒処理をした後連続照明処理しつづけても,処理1日目の松果体NAT活性は約1/2に押えられピークが約5時間後方にずれた日周リズムが現われた.消灯時刻(19時)が14L:10Dの光周期と同じ19〜23時の4時間暗黒処理し,その後連続照明した時の処理2日目のNAT活性の日周リズムは,14L:10D下の場合のNATリズムと一致していた.しかし,暗黒処理を22〜3時または1〜5時と遅らせると,処理3日目のNATリズムはそれぞれおよそ2時間そして4時間位相が後退した.また,明期(5〜19時)の14時間のうち5〜9時,8〜12時,12〜16時または15〜19時だけ光照明処理をした後連続暗黒下に置くと,処理2日目の松果体NAT活性は約1/2に押えられ低いリズムを示し,消灯時刻に従って松果体NAT活性の日周リズムが同調していた.これらのことから,明暗光周期の消灯刺激がおもな信号となり,ニワトリ松果体のNAT活性リズムの位相が定められているものと考えられる.一方,19時に消灯し暗黒処理の長さを4時間以下の場合の松果体NAT活性の日周リズムを調べたところ,暗黒処理時間の長さが少なくとも3時間あればNAT活性リズムは明暗光周期に同調し,1〜2時間の処理では効果はなくNAT活性リズムはフリーランニングしていた.また,16日齢および42日齢のニワトリひなの連続照明処理した場合とを比較すると,16日齢の松果体NAT活性の日周リズムは,処理1日目で光に抑制され位相が後方にずれていたが,42日齢では通常とほぼ同じ日周リズムを示し,両日齢間で差が認められた.このことより,日齢を経るにともない松果体の光受容能がしだいに弱くなるものと推察された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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